放送協会認定受信機
Approved Radio by NHK
放11611号 シャープ国民型1号受信機 早川電機工業(株) (1946.6.11認定) 大阪認定第1号
Approved No.11611 Sharp Type Kokumin-gata No.1 Hayakawa Electric Industry Co., Ltd. The 1st approved in Osaka

(左) 国民型独自のデザイン(1946年) (右) 局型123と同じデザイン(1947年)

内部(左)と底に貼られた回路図(右)
TUBES: 12YV1-12YR1-12ZP1-24ZK2-B37, TRF, Transformer-less, Magnetic Speaker
放送局型123号受信機と同じ回路の国民型受信機。ダイヤルは「放送局型第百二十三号受信機」の文字を「シャープ」に変更し、枠の色を赤色にしている。回路は123号と同じだが、シャーシがアルミ製になっている。スピーカはフレームが紙製のものと金属製のものが使われている。混乱した時代だけあって、このモデルには多くの細かいバリエーションがある。デザインは角型の123号と全く同じものと、スピーカのグリルを変更したものの2種類がある。局型と同じものが初期型というわけではないようである。デザインの他にも物不足に対応するために涙ぐましい「改良」行われた形跡がある。このタイプのトランスレス受信機は、シャーシを絶縁する必要がある。まずはシャーシの固定方法を見てみよう。

樹脂製スペーサと金具を組み合わせたもの

絶縁ワッシャと金具を使用したもの

樹脂又は木製の台1か所で支持するもの
この、並べた順に変化したと推定しているが、当初は局型に似た樹脂製のスペーサで支えているが、スペーサと、1か所あたりねじとナットを2組使用する事から、簡略化のために後部だけ絶縁ワッシャとL形の取付金具を使用する方式に変更された。最後には中央部に絶縁スペーサを取り付け、木ねじ1本でキャビネットに固定する方法になった。このスペーサは本来樹脂製だが、木片も使われている。次に裏蓋を見てみると、

シャープ国民型1号の裏蓋のバリエーション(右上は梱包箱)
左上の局型123号と同じもののほかに、スリットが大きなものと、縦型のものが確認されている。裏蓋の止めねじは本来3か所だが、1か所しか止められた形跡がないものもある。キャビネットを含め、局型と同じ形のものが古いというわけでもないようである。裏蓋の板厚も2種類あり、キャビネットの樹種も塗装も一定していない。とにかくありあわせの材料で製造したということだったようである。左上のセットには、ラベルが貼られた形跡がない。闇ルートに回った品物という可能性も考えられる。
この機種は、1946年6月に認定を受けているが、明らかにそれ以降の日付のものにも認定標章が付いたものが確認されていない。標章の供給が間に合わなかったのかもしれない。
(Collection No.11690, 11A386, 11A390, 11A391)