逓信省型式試験合格受信機

第16号 アオイ(AOI) 5SR-4型 葵無線工業(株) (1948.6.1合格、1949.1.27製造) 

 
外観および銘板(11A366))
 
内部(11821)


 


ループアンテナとピックアップ端子を追加して改造したもの(11A366)

TUBES: 6C6-6D6-6ZDH3-6ZP1-12F  パーマネント・ダイナミック・スピーカ

戦後派の中堅メーカ、葵無線工業の5球スーパー。この製品は低価格のスーパーとして企画された。コストダウンと入手の容易さから、コンバータに6C6を使用している。電源トランスの簡略化のため、単巻式のトランスを採用している。同社は1948年には国民型受信機の生産を止め、全面的にこのタイプのスーパーに切り替えたという。本機の製造年月日は1949年1月である。この頃には6WC5、6ZDH3Aの生産が進んでいたが、同社は終戦直後の設計を変更することなく、生産を続けていた。同社はその後の不況を乗り切れずに消滅したと思われる。

本機は、福島県足立郡岳下村(現二本松市)で使用されていた。紙芝居の額を思わせる箱に収められた形で発見された。箱は素人細工で、背面にコードを引き出す穴があることから、この形で使われていたようである。また、箱の側面には聴取許可書を貼っていた跡がある。宣伝用としてはあまりにも貧弱なつくりの箱だが、どのような目的で使われていたのだろうか。

本機は、ねずみの被害により、シャーシの腐食がひどい(11821)。

注)本機の型名を、従来「5SP-4」と紹介していたが、明瞭な銘板を持つ実機が確認されたことから、資料の誤記であることが確認できたので、「5SR-4」に訂正した。

(所蔵No.11821, 11A366)

もどる HOME