逓信省型式試験合格/放送協会認定受信機
Radio set Passed Examination by The Ministry of Posts and Telecommunications /Approved Radio by NHK

型式試験合格第39号/放11146号 トーツーTR-32型 国民2号A型受信機 (1946年11月9日認定/1948年6月12日型式試験合格) 東洋通信機(株)

Passed No. 39 / Approved No.11146 Totsu Model TR-32 Type Kokumin-gata No.2-A (1946-48) Toyo Communication Equipment Co., Ltd.

Approved at 9/11/1946, Passed Examination at 12/6/1948

 
スピーカと電源スイッチが取付られていない。バッフル板はない。

 

最初期型 1947.2 No.21163

 

初期型 1947.11 No.21408

 
  中期型 1948.2 No.25049

  
 後期型 1948.4 No.27514 (つまみ、ダイヤル目盛はオリジナルではない)


キャビネット底にある回路図(11A344)

TUBES: 6D6/6C6-6C6-6ZP1/42-12F, TRF, Magnetic Speaker

古い歴史を持つ通信機メーカーである東洋通信機が戦後民生市場に参入して製造した国民型受信機。マグネチックスピーカーを駆動する高一付4球受信機である。真空管が不足していた時代を反映して複数種の真空管が指定されている。デザインは平凡だが通信機メーカーらしいしっかりした作りである。1946年11月に放送協会認定を取得し、1948年6月に逓信省型式試験に合格している。両方の認定を取得しているセットは少ない。

このセットは、キャビネットのバリエーションが4種類確認されている。もっとも古い1947年2月の初期型は、終戦直後らしいシンプルなデザインである。シャーシはスクラップが出回っていたアルミ製である。この初期型には認定証がある。1947年11月製造のものは戦時中の局型を思わせるデザインに修正され、アルミシャーシが黒塗りの鉄板に変更されている。兵器を処分したスクラップが入手できなくなったのかもしれない。このモデルは協会認定を受けた後の日付の製品だが、認定標章は付いていない。翌年から逓信省型式試験が実施されることから切り替えを図っていたのだろうか。1948年には戦後風のデザインに手直しされている。この時シャーシの構造が手直しされ、直出しのアンテナ/アース線が端子盤に変更された。2ヶ月後の日付のあるセットは、キャビネットの基本構造は変わらないが、デザインが修正され、アルミの飾りが省略されている。当時の経済状況に厳しさから、時間の経過とともに貧弱になっていく、通信機メーカのラジオによくみられる特徴が表れている。

この機種は本来マグネチック・スピーカのはずだが、全てパーマネント・ダイナミックが付いている。改造と思われたが、まったく同じNisseiのユニットが同じ向きに取り付けられているものが2台確認されている。ダイナミックで出荷されたのかもしれない。

同社はその後ラジオからは撤退し、水晶振動子などの電子部品、機器を製造していたが2005年、セイコーエプソン(株)と資本提携し、分社化した水晶事業部をと経営統合してエプソントヨコム(株)となった。
そのs後2009年にセイコーエプソンの100%子会社となり、2011年に研究部門と管理部門をセイコーエプソンが吸収し、一部の製造拠点と販売部門のみを残す形で存続している。ブランドとしては東洋通信機につながるトヨコムの名称はなくなり、エプソンに統一された。

掲載誌:電波科学 1947.6
Appeared on The Denpa Kagaku (Radio Technic & Science) 06/1947 published by Nippon Housou Shuppan Kyokai

(Collection No.11245, 11A023, 11A327, 11A344)

国民型受信機一覧表へ 型式試験合格受信機一覧表へ ホーム

RETURN to Kokumin-gata Radio RETURN to The Radio set Passed Examinatio HOME