逓信省型式試験合格受信機

第34号 テン ”スーパースター” DR-1S5/A型 普及型5球スーパー (株)川西機械製作所 1948-49年(1948年6月12日合格)

  (初期型) 1948年5月製造 (所蔵No.11683)
  

  

TUBES: 6WC5A-6D6-6ZDH3-42-80, フィールド型ダイナミック(TEN VOX)

軍需産業から参入した川西機械製作所の5球スーパー。初期のDR-105型と異なり、ごく平凡なデザインとなっている。キャビネットが貧弱で重いダイナミックスピーカを支えられないため、底板から金具で支えている。自社製の真空管を使用しているためか、多くのメーカが中波スーパーのコンバータに6A7を使っていた時に早くも新型管6WC5Aを採用している。発表当時は75が予定されていたが、量産時には6Z-DH3が採用された。本機は、逓信省型式試験に合格する直前の初期のセットである。

  DR-1S5A型 1948年11月製造 (所蔵No.11275)

  

1948年後半にキャビネットの意匠が変更され、「大きな並四」のようなデザインから、一応スーパーに見える外観になったが、シャーシの材質がアルミから鉄板に変更された。軍需物資の在庫が底を尽いたものと思われる。この時に型番がDR-1S5A型に変更されたと思われる。また、銘板に愛称「スーパースター」および逓信省型式試験合格番号がが表記されるようになった。DR-1S5型は1949年5月まで製造された。

本機は添付の回路図の表記は6Z-DH3だが、6ZDH3Aが使われている。
Aタイプに変更されたときに6Z-DH3Aに変更された可能性がある。

本機のスピーカ、ツマミはオリジナルでない。また、6Z-DH3A用のシールドケースが失われている。

DR-1S5Aには、次に紹介するキャビネットが異なるタイプがある。(所蔵No.11A036)

  

 

このタイプはキャビネットが豪華なデザインになっている。銘板に日付の刻印がないが、後期の1949年頃ではないかと思われる。あまりに地味で古臭いデザインで売れないことから、少し立派に見えるデザインに変更したのではないだろうか。DR-1S5Aは、デザインを大幅に変更してDR-1S5B型になり、合格番号248番となった。

川西機械製作所は1949年に財閥解体により解散し、神戸工業(株)が設立された。神戸工業(株)は1968年に富士通(株)と合併し、1972年に富士通からラジオ部門が分離、独立し富士通テン(株)としてカーオーディオなどを生産してきたが、2017年に資本構成の変化により(株)デンソーテンとなった。

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