日本ラジオ博物館

Japan Radio Museum

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図書案内

ここではラジオのコレクション、メディア史、放送や技術の歴史研究に役立つ図書を紹介します。
発行年度の古いものもありますが、骨董的なものは割愛し、1980年代以降の比較的入手しやすいものを集めました。
並び順は原則各カテゴリーごとに発行年次が新しい順にしていますが、見やすくするために一部著者別やカテゴリー別に整理してあります。

 (ご注意)
紹介から時間がたち、絶版となっているものもあります。価格やデータは発行当時のものです。
(発行が古いものは発行当時の総額表示となっています。消費税増税後のご購入の際にはご注意ください)。
絶版書の中には電子書籍版が発売されているものもあります。
すべての情報を記載していませんが、詳しくはECサイト等でご確認ください。

購入の便のため、Amazon.co.jpへのリンクを作成してあります。ご利用ください。
2022年4月1日から画像付きリンクが廃止されたため、テキストリンクに修正しました(2022.3.26)。


日本ラジオ博物館の本

日本ラジオ博物館が本になりました(勉誠出版刊)
『ラジオの技術・産業の百年史』岡部匡伸著
Amazon.co.jpで購入する

常設展ガイドブック『日本のラジオ50年史』
くわしくはこちら(note公式)


新着図書(2024.7.16更新)

ジャンル別一覧

アンティークラジオ

ラジオの歴史ラジオの技術

エレクトロニクス一般

放送一般放送の歴史

玉音放送・終戦

放送関係者のエッセイ、伝記

技術史、メディア史

社史, 技術開発, 電機・電子業界

昭和史歴史一般

日本軍軍事史

オーディオアマチュア無線

コンピュータ,半導体家電

災害と報道

|博物館

CD、ビデオ、DVD

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新着図書
(全紹介図書のジャンル別一覧はこちら)

2024年に紹介した図書

決断 パナソニックとソニー、勝負の分かれ目 藤本秀文著 日本経済新聞出版 2024年 1,700円+税 (2024.10.1)
8月15日[玉音放送]の音響考古学 藤田赤目著 地人社 2024年 2,500円+税(オンデマンド版冊子)/ 1,250円(税込み)(kindle版電子書籍) (2024.7.16)
ミュージアムと生きていく 大澤夏美著 文学通信 2024年 1,800円+税 (2024.6.2)
秘伝 オールナイトニッポン -奇跡のオンエアはなぜ生まれたか- 亀淵昭信著 小学館 2023年 900円+税 (2024.1.13)

2023年に紹介した図書

雑草ラジオ 瀬戸義章著 英治出版 2023年 1,800円+税 (2023.7.27)
テレビ国際報道 渡辺光一著 岩波新書 1992年 580円(発行当時) (2023.5.14)
シャープ再生への道 戴正呉著 日本経済新聞出版 2023年 1,700円+税 (2023.4.19)
古いメディアが新しかった時 -19世紀末社会と電気テクノロジー- キャロリン・マーヴィン著 吉見俊哉・水越伸・伊藤昌亮訳 新曜社 2003年 4,500円+税 (2023.2.8)
沖縄 戦火の放送局 -軍隊に飲み込まれたラジオ- 渡辺 孝著 大月書店 2022年 2,000円+税 (2023.1.15)

2022年に紹介した図書

占領期ラジオ放送と「マイクの開放」 -支配を生む声、人間を生む肉声- 太田奈名子著 慶応義塾大学出版会 2022年 4,200円+税 (2022.3.26)
ラジオのお仕事 室井昌也著 勉誠出版 2015年 1,800円+税 (2022.1.3)

2021年に紹介した図書

世にも奇妙な博物館 丹治俊樹著 みらいパブリッシング 2021年 1,600円+税 ( 2021.8.31)
電子楽器 -過去|現在|未来- 三枝文夫著 ミュージックトレード社 2021年 1,800円+税 (2021.3.18)

満州国のラジオ放送 代珂著 論創社 2020年 3,000円+税 (2021.1)

電気の歴史 -人と技術のものがたり- 高橋雄造著 東京電機大学出版局 2011年 3,000円+税 (2021.1.2)

2020年に紹介した図書

家具調テレビの誕生 -テレビ受像機のデザイン変遷史- 増成和敏著 三樹書房 2019年 2,800円+税 (2020.12.5)
音響メディア史 谷口文和 中川克志 福田裕大著 ナカニシヤ出版 2015年 2,300円+税 (2020.12.5)
博多放送物語 NHK福岡を語る会編 海鳥社 2002年 2,500円+税 (2020.12.5)
逆・タイムマシン経営論 楠木健 杉浦泰著 日経BP社 2020年 2,200円+税 (2020.12.5)
あの日を刻むマイク -ラジオとともに歩んだ九十年- 武井照子著 集英社 2020年 1,700円+税 (2020.4.19)

2015年から2019年に紹介した図書

レーダーの歴史 英独 暗夜の死闘 辻 俊彦著 芸立出版 2012年 1,800円+税 (2019.3.10)
満州電信電話株式会社 -そのメディア史的研究- 白戸健一郎著 創元社 2016年 3,600円+税 (2017.12.29)

増補改訂 戦争・ラジオ・記憶 貴志俊彦 川島真 孫安石 編 勉誠出版 2015年 6,800円+税 (2017.12.29)
テレビが見世物だったころ 初期テレビジョンの考古学 飯田 豊著 青弓社 2016年 2,400円+税 (2017.11.24)
紀元2600年のテレビドラマ 森田 創著 講談社 2016年 1,600円+税 (2017.8.30)
ラヂオ塔大百科2017 一幡公平著 タカノメ特殊部隊発行 2017年 1,500円(税込み)+送料200円(税込み) (2017.8.21)
プロパガンダ・ラジオ 日米電波戦争の幻の録音テープ 渡辺 考著 筑摩書房 2014年 2,300円+税 
増補 八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学 佐藤卓己著 ちくま学芸文庫 2014年 1,200+税 (2015.4.13)
ラジオの昭和 丸山鐡雄著 幻戯書房 2012年 2,800+税 (2015.1.3)

続・懐かしくて新しい 昭和レトロ家電  増田健一著 山川出版社 2014年 1,600+税 (2015.1.3)

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ジャンル別目次


アンティークラジオ

洋書

  A. Atwater Kent: The Man, the Manufacturer, and His Radios, Ralph Williams, John P. Wolkonowitz, Sonoran Publishing Inc. 2002 $25.95

  Vintage Radio 1887-1929 Morgan E. McMahon  Vintage Radio 1973年 $6.95

  A Flick of the Switch 1930-1950  Morgan E. McMahon  Antique Electronics Supply  1975年

  Radio Manufacturers of the 1920's Vol.1-3  Alan Dauglas  The Vestal Press Ltd. 1991年

  Radiola The Golden Age of RCA Eric. P. Wenaas Sonoran Publishing, LLC, 2007年 $65.00

和書

  ラジカセのデザイン! 松崎順一著 青幻舎 2009年 1,600円+税

  真空管式スーパーラジオ徹底ガイド 内尾 悟著 誠文堂新光社 2008年 2,200+税

  真空管ラジオ製作ガイド―今、真空管ラジオがおもしろい 初歩のラジオ編集部編 誠文堂新光社 2007年 2,200+税

  ヴィンテージラヂオ物語 田口達也著 誠文堂新光社 1993年 3,900円+税

  収蔵機器555 中田 薫編 NHK放送博物館 2003年 1,500円

  図録 時代を語る放送機器 NHK放送博物館発行 2002年3月 2,000円

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ラジオの歴史

  ラジオの歴史 -工作の<文化>と電子工業のあゆみ- 高橋雄造著 法政大学出版局 2011年 4,800円+税 

  戦前日本のエレクトロニクス -ラジオ産業のダイナミクス- 平本 厚著 ミネルヴァ書房  2010年 5,500円+税

  真空管の伝説 木村哲人(きむら のりと)著 筑摩書房 ちくまプリマーブックス145 2001年 1,200円

  真空管半代記  藤室 衛著 東京文献センター 2000年 1,890円

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放送の歴史

  占領期ラジオ放送と「マイクの開放」 -支配を生む声、人間を生む肉声- 太田奈名子著 慶応義塾大学出版会 2022年 4,200円+税

  博多放送物語 NHK福岡を語る会編 海鳥社 2002年 2,500円+税

  満州国のラジオ放送 代珂著 論創社 2020年 3,000円+税

  満州電信電話株式会社 -そのメディア史的研究- 白戸健一郎著 創元社 2016年 3,600円+税

  テレビが見世物だったころ 初期テレビジョンの考古学 飯田 豊著 青弓社 2016年 2,400円+税

  紀元2600年のテレビドラマ 森田 創著 講談社 2016年 1,600円+税

  ラヂオ塔大百科2017 一幡公平著 タカノメ特殊部隊発行 2017年 1,500円(税込み)+送料200円(税込み)

  沖縄 戦火の放送局 -軍隊に飲み込まれたラジオ- 渡辺 孝 大月書店 2022年 2,000円+税

  プロパガンダ・ラジオ 日米電波戦争の幻の録音テープ 渡辺 考著 筑摩書房 2014年 2,300円+税

  現代日本語史における放送用語の形成の研究 塩田雄大著 三省堂 2014年 2,700円+税

  戦前のラジオ放送と松下幸之助 -宗教系ラジオ知識人と日本の実業思想を繋ぐもの- 坂本慎一著 PHP研究所 2011年

  ラジオの戦争責任 坂本慎一著 PHP新書/法蔵館文庫 2008/2022年 760円/990円

  もうひとつの昭和 NHK外国放送受信部の人びと 香取俊介著 講談社 1994年 1,748円

  ピーストーク 日米電波戦争 北山節郎著 ゆまに書房 1996年 2,600円

  ラジオの時代 -ラジオは茶の間の主役だった- 竹山昭子著 世界思想社 2002年 2,800円+税

  史料が語る太平洋戦争下の放送 竹山昭子著 世界思想社 2005年 1,900円

  日本の放送をつくった男 フランク馬場物語 石井清司著 毎日新聞社 1998年 1,500円

  幻の声 NHK広島8月6日 白井久夫著 岩波新書 1992年 580円

  検閲放送  柳澤恭雄(やなぎさわやすお)著 けやき出版 1,800円

  戦雲に消えたパラオ放送局  立澤正雄著 エイジ出版 1980年 980円

  JODK消えたコールサイン  津川 泉著 白水社 1,800円

  幻の放送局-JODK 篠 慧子著 鳥影社 2006年 1,500円

  現代民話考(第二期)Ⅲ ラジオ、テレビ局の笑いと怪談 松谷みよ子編 立風書房 1987年 2,000円

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玉音放送・終戦

  8月15日[玉音放送]の音響考古学 藤田赤目著 地人社 2024年 2,500円+税(オンデマンド版冊子)/ 1,250円(税込み)(kindle版電子書籍)

  昭和二十年八月十五日 夏の日記 河邑 厚徳著 角川文庫 1995年 (絶版書)

  増補 八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学 佐藤卓己著 ちくま学芸文庫 2014年 1,200+税

  玉音放送 竹山昭子著 晩聲社 1989年 1,200円

  玉音放送をプロデュースした男-下村 宏 坂本慎一著 PHP研究所 2010年 2,300円+税

  決定版 日本のいちばん長い日 半藤一利著 文春文庫 648円+税

  終戦秘史  下村海南(宏)著 講談社学術文庫 1,000円

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社史, 技術開発, 電機・電子業界

日本

  決断 パナソニックとソニー、勝負の分かれ目 藤本秀文著 日本経済新聞出版 2024年 1,700円+税

  シャープ再生への道 戴正呉著 日本経済新聞出版 2023年 1,700円+税 

  家具調テレビの誕生 -テレビ受像機のデザイン変遷史- 増成和敏著 三樹書房 2019年 2,800円+税

  電子立国はなぜ凋落したか 西村吉雄著 日経BP社 2014年 1,800円+税

  血族の王 -松下幸之助とナショナルの世紀- 岩瀬達哉著 新潮社 2011年 1,600円+税

  白いツツジ 「乾電池王」屋井先蔵の生涯 上田明博著 PHP研究所 2009年 1,700円+税

  電機・最終戦争 -生き残りへの選択 日本経済新聞社編 日本経済新聞出版社 2012年 1,300円+税

  決戦 薄型テレビ最終戦争 寺山正一著 日経BP社 2005年 1,600円

  会社が消えた日 -三洋電機10万人のそれから- 大西康之著 日経BP社 2014年 1,600円+税

  三洋電機 井植 敏の告白 大西康之著 日経BP社 2006年 1,700円

  画の出るレコードを開発せよ! 神尾健三著 草思社 1995年 1,600円

  シャープを創った男 早川徳次伝 平野隆彰著 日経BP社 2004年 1,800円

  テレビ人生一筋 -技術者の65年- 久野古夫著 日経BP企画 2001年 1,600円

  映像メディアの世紀/陽はまた昇る 佐藤正明著 日経BP社 1999年 1,900円

海外

  HPウェイ -シリコンバレーの夜明け- D・パッカード著 伊豆原 弓訳 日経ビジネス文庫 2000年 600円

  エジソン発明会社の没落  アンドレ・ミラード著 橋本毅彦訳 朝日新聞社 1998年 2,900円

ソニー

  「ソニー」創造への旅 井深大 著 井深亮 序 グラフ社 2003年 1,500円+税

  ソニー技術の秘密 木原信敏著 ソニー・マガジンズ 1997年 1,748円+税

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エレクトロニクス一般

  PSE読本 櫨山泰亮(はぜやま やすひろ)著 電波新聞社 2007年 2,100円

  定本 トランジスタ回路の設計(正、続) 鈴木雅臣著 CQ出版社 1992年 正:2,243円 続:2,752円

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ラジオの技術

  再び始めるBCL―世界のラジオを楽しむ! (三才ムック VOL. 188) 2008年 1,500円(税込)

  手作りラジオ工作入門 西田和明著 講談社ブルーバックス 2007年 800円

  真空管1球入魂 龍田壱球著 マイクロマガジン社 2005年 1,600円

  電子工作バイブル 真空管ラジオ&実用キットの製作 乱 狂太郎著 マガジンランド 2002年 1,200円

  ラジオ&ワイヤレス回路の設計・製作  鈴木憲次著 CQ出版社 1999年 1,900円

  101 SHORTWAVE HOOKUPS  reprinted by Lindsay Publications Inc. 1990年

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放送、ラジオ関係者のエッセイ、伝記

  秘伝 オールナイトニッポン -奇跡のオンエアはなぜ生まれたか- 亀淵昭信著 小学館 2023年 900円+税

  あの日を刻むマイク -ラジオとともに歩んだ九十年- 武井照子著 集英社 2020年 1,700円+税

  ラジオの昭和 丸山鐡雄著 幻戯書房 2012年 2,800+税

  FM雑誌と僕らの80年代 「FMステーション」青春記 恩藏 茂著 河出書房新社 2009年 1,700円+税

  秋葉原、内田ラジオでございます 内田久子著 廣済堂出版 2012年 1,300円+税

  志村正順のラジオ・デイズ 尾嶋義之著 新潮文庫 2001年 476円+税

  私のNHK物語 アナウンサー38年  山川静夫著 文芸春秋 1,700円

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放送一般

  雑草ラジオ 瀬戸義章著 英治出版 2023年 1,800円+税

  ラジオのお仕事 室井昌也著 勉誠出版 2015年 1,800円+税

  ラジオの教科書 花輪如一(はなわ なおと) データハウス 2008年 2,000円+税

  テレビを旅する 瀬戸山 玄著 小学館文庫 1998年

  テレビ国際報道 渡辺光一著 岩波新書 1992年 580円(発行当時)

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技術史、メディア史 

古いメディアが新しかった時 -19世紀末社会と電気テクノロジー- キャロリン・マーヴィン著 吉見俊哉・水越伸・伊藤昌亮訳 新曜社 2003年 4,500円+税
電子楽器 -過去・現在・未来- 三枝文夫著 ミュージックトレード社 2021年 1,800円+税

音響メディア史 谷口文和 中川克志 福田裕大著 ナカニシヤ出版 2015年 2,300円+税
満州電信電話株式会社 -そのメディア史的研究- 白戸健一郎著 創元社 2016年 3,600円+税

満州国のラジオ放送 代珂著 論創社 2020年 3,000円+税

増補改訂 戦争・ラジオ・記憶 貴志俊彦 川島真 孫安石 編 勉誠出版 2015年 6,800円+税
メディア技術史 -デジタル社会の系譜と行方- 飯田 豊編著 (株)北樹出版 2013年 1,900円+税
グラハム・ベル空白の12日間の謎 セス・シュルマン著 吉田三知代訳 日経BP社 2010年 2,200円

「はかる」世界  松本栄寿著 玉川大学出版会 2000年 2,600円

雑録 明治の情報通信 鎌田幸蔵著 近代文芸社  2008年 1,300円

日本ロボット創世記 井上晴樹著 NTT出版 1993年 3,500円

電気の歴史 -人と技術のものがたり- 高橋雄造著 東京電機大学出版局 2011年 3,000円+税

百万人の電気技術史 高橋雄造著 工業調査会 2006年 2,800円

日本のエレクトロニクスの源流 -電気試験所神代分室の記録-(上)(下) 高橋得雄他編著 工業調査会  2001年 2,800円

ビジュアル版 日本の技術100年 第5巻 通信、放送  向坊隆他監修 ちくま書房  1987年 7,000円

ザ・サイエンス・ビジュアル 1 「電気」 スティーブ・パーカー著 東京書籍 1993年 2,000円

   父マルコーニ デーニャ・マルコーニ・パレーシェ著 御松佳子訳 東京電機大学出版会 2007年 2,500円

   無線百話  若井 登 監修  クリエイト・クルーズ刊 1997年 4,000円

  「声」の有線メディア史 坂田謙司著 世界思想社 2005年 2,800円

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昭和史

昭和史 1926-45 半藤一利著 平凡社ライブラリー671 2004年(単行本初版) 972+税(ソフトカバー版)
戦前昭和の社会 1926-1945 井上寿一著 講談社現代新書 2011年 740円
占領下日本 半藤一利、竹内修司、保阪正康、松本健一著 筑摩書房 2009年 2,300円

ソ連が満州に侵攻した夏 半藤一利著 文春文庫 2002年 570円 (単行本は1999年文芸春秋刊 1,524円+税)

戦下のレシピ 太平洋戦争下の食を知る 斉藤美奈子著 岩波アクティブ新書37 2002年 760円

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歴史一般

逆・タイムマシン経営論 楠木健 杉浦泰著 日経BP社 2020年 2,200円+税
史実を歩く 吉村昭著 文春新書/分春文庫 1998/2008年 680/560円(税込)

広告図像の伝説 荒俣宏著 平凡社 1989年 1,480円

タイタニックは沈められた ロビン・ガーディナー&ダン・ヴァンダー・ヴァット著 内野儀訳 集英社 1996年 2,039円

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日本軍 

大本営報道部 -言論統制と戦意昂揚の実際- 平櫛 孝著 光人社NF文庫 2006年 667円

秘話 陸軍登戸研究所の青春 新多昭二著 講談社文庫 2004年 571円

海軍技術研究所~エレクトロニクス王国の先駆者達 中川靖造著 講談社文庫 1990年 540円

軍用自動車入門  高橋 昇著 光人社NF文庫 2000年 867円

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軍事史

レーダーの歴史 英独 暗夜の死闘 辻 俊彦著 芸立出版 2012年 1,800円+税

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オーディオ

  レコードはまっすぐに -あるプロデューサーの回想- ジョン・カルーショー著 山崎浩太郎訳 学研 2005年 3,600円+税

  オーディオ小僧の食いのこし 牧野良幸著 AUDIO BASIC MOOK21 共同通信社 2009年 1,600円+税 

  音のエンタテインメント 佐藤和明編著 新評論 2005年 2,500円

  長岡鉄男の日本オーディオ史 1950-82 長岡鉄男著 音楽の友社 1994年 各2,000円

  長岡鉄男の日本オーディオ史 ② 著者、出版社、価格は上と同じ

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アマチュア無線

  日本アマチュア無線外史 岡田次雄、木賀忠雄著 電波実験社 1991年

  列伝アマチュア無線機50年史 マガジンランド発行 1,800円

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コンピュータ,半導体

  新装版 計算機屋かく戦えり 遠藤 諭著 アスキー 2006年 2,310円

  エニアック 世界最初のコンピュータ開発秘話 スコット・マッカートニー著/日暮雅通訳 パーソナルメディア 2001年 1,900円

  日本の半導体40年 ハイテク技術開発の体験から  菊池 誠著 中公新書 1992年 680円

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家電

懐かしくて新しい 昭和レトロ家電 増田健一著 山川出版社  2013年 1,600円+税
続・懐かしくて新しい 昭和レトロ家電 増田健一著 山川出版社 2014年 1,600円+

70年代アナログ家電カタログ 松崎順一著 青幻社 2013年 2,800円+税

日本の家電製品 -昭和を彩った家電製品- 佐竹 博著 産業図書(株) 2009年 1,500円+税

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災害と報道

  その時、ラジオだけが聴こえていた IBC岩手放送監修 竹書房 2012年 1,300円+税

  ラジオ福島の300日 片瀬京子とラジオ福島著 毎日新聞社 2012年 1,500円+税

  河北新報のいちばん長い日 -震災下の地元紙- 河北新報社著 文芸春秋 2012年 1,333円+税

  6枚の壁新聞 -石巻日日新聞・東日本大震災後7日間の記録- 石巻日日新聞社編- 角川SSC新書 2011年 933円+税

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博物館

ミュージアムと生きていく 大澤夏美著 文学通信 2024年 1,800円+税

世にも奇妙な博物館 丹治俊樹著 みらいパブリッシング 2021年 1,600円+税

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CD、ビデオ

  音声資料による実録 大東亜戦争史 (CD) 山中 亘監修 1997年 日本コロムビア 10,500円


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アンティークラジオ


A. Atwater Kent: The Man, the Manufacturer, and His Radios, Ralph Williams, John P. Wolkonowitz, Sonoran Publishing Inc. 2002年 $25.95 英語

Atwater Kent社は、初期の"Bread Board"から"Buthtub"スタイルの交流受信機まで、コレクターに人気があり、また、アメリカで量産されたラジオのひとつとして歴史的にも重要である。本書は同社製品の代表的コレクターである著者が、その創業から全盛期までを網羅したものである。カラーページは少なく、全108ページと薄い本だが、内容は非常に濃い。各製品の回路図も掲載され、セットの整備にも役に立つ。同社製品に興味があれば、ぜひ手元においておきたい1冊である。
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Vintage Radio 1887-1929 Morgan E. McMahon  Vintage Radio 1973年 $6.95

無線通信が始まったころの火花送信機やコヒーラ検波器などから、1920年代の電池式、鉱石式受信機までのヴィンテージ期の機器を多くの写真と図版で紹介している。特にラジオ放送以前の機器については、ラジオコレクターの立場でこの時代を取り上げた文献は少なく、貴重である。

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A Flick of the Switch 1930-1950  Morgan E. McMahon  Antique Electronics Supply  1975年 英語

"Vintage Radio"と同じ著者の続編にあたる。ラジオの黄金時代といえるアメリカの1930年から1950年までのラジオセットを、メーカー別に多数の写真と図版で紹介している。コンパクトなペーパーバックだが、歴史についてもわかりやすくまとめられていて参考になる。アメリカのラジオに興味があれば1冊手元に置くことをお勧めしたい。
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Radio Manufacturers of the 1920's Vol.1-3  Alan Dauglas  The Vestal Press Ltd. 1991年 英語

ラジオ放送開始から普及までの1920年代のアメリカのラジオ史は非常に重要である。本書は、1920年代のアメリカのラジオメーカーをアルファベット順にまとめたもの。当時の広告と状態の良いコレクションの写真で多くのセットを紹介している。また、各社の沿革を詳述しているので、資料的価値も高い。

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Radiola The Golden Age of RCA  Eric. P. Wenaas Sonoran Publishing, LLC, 2007年 $65.00 英語

アメリカのみならず、ラジオ放送初期の歴史を語る上で欠かすことのできないRCAのRadiolaブランドの歴史と製品について膨大なコレクションと研究を元に余すところなく網羅した力作である。製品の詳細な変遷だけでなく、RCAおよび関連するGE、ウェスチングハウス、ブランスウィック、ビクターとの関係および関連する製品についても詳述されている。高価な本だが、資料的価値はきわめて高い。
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真空管式スーパーラジオ徹底ガイド 内尾 悟著 誠文堂新光社 2008年 2,200円+税 英語

ラジオ少年からコンピュータのエンジニアに進み、現在、日本有数のラジオ・コレクターでもある著者が、アンティークラジオの中で最も一般的なスーパーヘテロダイン受信機について、原理、歴史、回路についてわかりやすく解説し、製作記事とともにまとめたもの。部品の活用方法や組み立て、調整のノウハウに著者の豊富な経験が生かされていて参考になる。また、現在入手名困難な部品の状況にも配慮が払われている。
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真空管ラジオ製作ガイド―今、真空管ラジオがおもしろい 初歩のラジオ編集部編 誠文堂新光社 2007年 2,200円+税

単球ラジオから5球スーパーまで、真空管ラジオの技術と製作例を豊富な図版と製作記事でわかりやすく解説。真空管ラジオの自作、修理に取り組むには最適の書。
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ヴィンテージラヂオ物語 田口達也著 誠文堂新光社 1993年 3,900円

古典ラジオのコレクターとして知られる著者のコレクションを著者自身の解説で美しい写真とともに紹介している。元はMJ誌上に1989年から1992年にわたって連載されたものである。1920年代の古典ラジオを中心に保存状態の極めてよい代表的な受信機が取り上げられている。日本語で読めるこの時代のラジオの本としては最良のものといえる。
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収蔵機器555 中田 薫編 NHK放送博物館 2003年 1,500円

テレビ50年を記念して作成された放送博物館収蔵資料の図録。ふだん展示されていない物を含む収蔵機器が鮮明なカラー写真で紹介されている。同館ミュージアムショップで販売されていたが、現在は閉店している。問い合わせはNHK放送博物館まで。

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図録 時代を語る放送機器 NHK放送博物館 2002年3月 2,000円

NHK放送博物館のコレクションを質の高い写真で紹介した図録である。写真にはそれぞれ解説がつけれているが、興味深いのは市販品として知られていた終戦直後の中小メーカーのラジオに「技研試作」の表記があることである。技研の依頼、もしくは協力によりメーカーが試作したものが市販されたと思われる。他に関係者の回想も掲載され、厚みのあるものになっている。同館ミュージアムショップで販売されていたが、現在は閉店している。問い合わせはNHK放送博物館まで。

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再び始めるBCL―世界のラジオを楽しむ! (三才ムック VOL. 188) 2008年 1,500円(税込) 

かつて、1970年代に海外放送を受信するBCLブームがあった。スカイセンサーやプロシードなど、専用の短波受信機が多く発売され、それらは現在、アンティークラジオの1分野として高い人気がある。本書は、かつてのBCLファンが再び短波放送受信に取り組みためのガイドブックである。かつてのBCLラジオの紹介から現在入手可能な短波受信機、今の短波放送の状況などがわかりやすくまとめられている。
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ラジカセのデザイン! 松崎順一著 青幻舎 2009年 1,600円+税

1970年代以降のラジカセを中心とする家電製品を収集する「デザインアンダーグラウンド」を主宰する著者が、その収集品からデザインに着目して1970年代から80年代のラジカセを紹介している。まだ評価が定まっているとは言えない70-80年代のデザインを美しいビジュアルで楽しく取り上げたコンパクトな本には著者のラジカセへの強い思いが込められている。DVDもあり。
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放送の歴史


占領期ラジオ放送と「マイクの開放」 -支配を生む声、人間を生む肉声- 太田奈名子著 慶応義塾大学出版会 2022年 4,200円+税

終戦を境に日本のラジオは変わったといわれる。戦後、GHQの「指導」によって始まった有名な番組が「真相はこうだ」と聴取者または大衆を参加させた「質問箱」「街頭録音」である。これらの番組には、従来、戦後、言論の自由が保障され、本書のタイトルにある「マイクの開放」が実現したと解説されてきた。簡単に語られる「定説」に対し、若手研究者である著者は、放送博物館に残された音源や台本に対して言語学の手法を用いて厳密な分析を試みている。一つ一つの言葉をおろそかにしない分析から見えてくるものは、「真相」を告げるという名目の放送に込められた占領者の意図であった。また、街頭録音の中でも有名、かつ大きな反響を起こした、隠しマイクで東京・有楽町の夜の女の証言を記録した「ガード下の女たち」についても、底辺に生きる人間の生の声を、同じように分析し、これらのラジオに関連する同時代の文学作品も含めてとりあげることで、「マイクの開放」の実態ともいえるものを導き出そうとしている。

本書は500ページを超える大部の学術書であるため、決して読みやすいものではない。特に、言語学の手法を解説した第1章は難解であるが、具体的にラジオ番組を分析する第2章以降は、専門家でなくとも興味深く読み進められるだろう。

著者は、終章において、本書で用いた手法は、現代のメディアが繰り出してくる表現を批判的に評価することが可能であることを示唆している。たまたま、本書を読み進めるうちに、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、ニュースはこの話題で埋め尽くされるようになった。私は50代後半で、東西冷戦真っただ中の70年代、BCLブームで、モスクワ、北京、北朝鮮の日本語放送を聞いて笑い飛ばすリテラシー?を身に付けられたが、現代の強烈なプロパガンダ合戦を若い人はどのようにとらえているだろうか。本書は、プロパガンダを繰り出す側が巧妙に言葉を操ってコントロールしてくることを教えてくれる。

私も博物館で解説しながら時折反省するが、時代に対して、ついステレオタイプの説明をしてしまうことがある。「戦前は軍国主義で暗い時代だった」、「戦後は言論の自由が認められ、明るくなった」などである。間違いではないが、一面の真実にすぎない。私はバブル時代に社会人になったが、みんながみんなディスコで踊っていたわけではないのである。本書は、何事も一面的にとらえず、深く掘り下げることが時には必要であることを思い出させてくれた。
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博多放送物語 ‐秘話でつづるLKの昭和史‐ NHK福岡を語る会編 海鳥社 2002年 2,500円+税

放送開始前、東京や大阪と同じように福岡でも新聞社による実験などのラジオ開局熱があった。結局、放送局は熊本に決まり、九州の放送は、1928年の熊本放送局の開局に始まったが、文化の中心であった福岡には演奏所が設けられた。本書は、九州の放送草創期から1980年代までのラジオからテレビへ移る福岡放送局(JOLK)の歴史を生き生きと語ったものである。地方局の歴史が単行本にまとめられることは珍しい。本書により、地方局にも中央と同じように放送に対する取り組みがあったことがわかる。
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テレビが見世物だったころ 初期テレビジョンの考古学 飯田 豊著 青弓社 2016年 2,400円+税

テレビの歴史というと、戦後の「街頭テレビ」から語られることが多い。また、それ以前の歴史については高柳健次郎の「イ」の字を映した業績についても語られる。しかし、ごく初期の、機械式とブラウン管式が開発競争をしていた1930年代前半からテレビが博覧会などで一般大衆に公開され、「番組」も作られていた事は知られていない。本書では、テレビ界初の草創期から1940年の東京オリンピックを目指した実用化への動きという戦前のテレビの歴史をラジオ雑誌などの文献から丹念に掘り起こし、技術史とメディア史両方の視点からテレビの開発者、試聴した一般大衆、一般公開という「興業」を主宰したマスコミや政府機関などの思惑まで、幅広く取り上げている。いままで取り上げられることの少なかった戦前のテレビの実像を明らかにしたという点で興味深い作品である。
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紀元2600年のテレビドラマ 森田 創著 講談社 2016年 1,600円+税

1940(昭和15)年に実験放送ではあったが、日本初のテレビドラマ「夕餉前」が放送された。本書は日本初の電子式テレビを実現し、幻となった東京オリンピックを前に放送技術研究所でその実用化に携わった高柳健次郎と、放送協会の若手制作者が初めてのテレビドラマに挑戦し、完成させるまでを、日中戦争の激化と紀元2600年という時代背景を描きながら日本のテレビの草創期を鮮やかに描いている。巻末には「夕餉前」の脚本も掲載されている。本書の取材時には関係者の多くは他界していたため、直接の証言が少ないのはやむを得ないであろう。それでも数少ない生存者に取材し、多くの雑誌記事や1970年代頃の関係者の証言などを資料としている。
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ラヂオ塔大百科2017 一幡公平著 タカノメ特殊部隊発行 2017年  1,500円(税込み)+送料200円(税込み)

ラジオ塔とは大型の灯篭状の建造物にラジオを組み込んで大衆に聞かせるようにした施設で、公園などに設置された。1930年の大阪天王寺公園を皮切りに聴取者100万突破を記念して全国に約40か所設置されて以降、戦前から戦時中にかけて全国で500か所近く設置された。多くはラジオ体操などに活用されたが、戦後、テレビ放送が始まってから使われなくなった。
著者の調査により、全国に40か所近くのラジオ塔が現存し、一部は保存、活用されていることが判明した。本書は、カメラマンである著者が全国を回って現存するラジオ塔を質の高い写真とともに紹介し、オールカラーの冊子にまとめたものである。まとまった資料のないラジオ塔について知る良書であるとともに、ラジオ塔を訪ねる旅の良きガイドブックとなるであろう。本書は同人誌のため、著者の直販となる。購入につついては下記サイト
https://takanome1.blog.fc2.com/blog-entry-28.html
を参照されたい。

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沖縄 戦火の放送局 -軍隊に飲み込まれたラジオ- 渡辺 孝 大月書店 2022年 2,000円+税

あまり知られていないが、沖縄放送局も、パラオ、マニラなどの南洋の放送局同様、戦火に巻き込まれた放送局であった。日本放送協会が運営していたパラオ放送局長から、1943年5月、太平洋戦争開戦後(1942年3月)に開局した沖縄放送局長に赴任した岩﨑命吉(のぶきち)の手記が発見された。そこには沖縄戦で放送局が壊滅し、絶望的な敗走から生還する過程と、思いが綴られていた。復帰後に改めて同じJOAP(ラジオ第2はJOAD)のコールサインで開局した沖縄放送局のディレクターである著者が、この手記をベースに取材し、戦時下の沖縄局を、現役のテレビ人としてとらえたドキュメンタリーである。

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プロパガンダ・ラジオ 日米電波戦争の幻の録音テープ 渡辺 考著 筑摩書房 2014年 2,300円+税

1966年生まれのNHKプロデューサーである著者が、2009年に制作したETV特集「シリーズ 戦争とラジオ」制作のために日米の謀略放送に関するアメリカに残されたテープを探し求め、関係者に取材する過程をつづったドキュメンタリーである。戦後生まれの著者が出会う戦時下の謀略放送の生々しい現実に触れて、戸惑い、驚き、怒りを隠せない様子が当時のテープを文字に起こした文章と共につづられている。また、番組制作者の視点で戦時中の謀略番組の出来を評価する視点もあり、興味深い。基本的に番組の取材記録のため、研究書のような厳密さや奥深さはないが、読みやすい。本書の冒頭で、著者が少年時代のBCLブームの時にある国のプロパガンダ日本語放送(だいたい想像はつくが)に触れ、嘘だと思いつつ引き込まれそうになる経験が語られている。放送の持つ負の力を考えることは現代でも重要ではないだろうか。その点で本書は戦時下の謀略放送の世界に触れるきっかけとして良書である。
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ラジオの昭和 丸山鐡雄著 幻戯書房 2012年 2,800円+税

お堅いことで知られるNHK(日本放送協会)だが、放送開始当初から文芸部門があった。著者(1910-1988)は1934(昭和9)年に日本放送協会・東京中央放送局に入局した。まだ愛宕山に放送局があった時代である。今よりはるかに規制が厳しく、戦時下、GHQ占領下という厳しい時代に文芸部門に所属し、ユーモアと反骨精神で歴史に残る番組を制作してきた。代表的なものは「日曜娯楽版」である。本書は著者が放送局で過ごした時代を回想録として雑誌「78 Seven Eight」に連載したものをまとめたものである。番組そのものの録音が残っていない時代の制作側を物語る貴重な証言である。ちなみに、著者の父、丸山幹治は毎日新聞論説委員、実弟は政治思想家の丸山眞男である。
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現代日本語史における放送用語の形成の研究 塩田雄大著 三省堂 2014年 2,700円+税

話し言葉としての「標準語」の成立には、ラジオ放送が大きく影響している。本書は、日本放送協会に残された放送用語の検討過程の資料、聴取者からの苦情や意見の記録などから、放送の言葉がどのように決められ、どのように変化してきたかを研究したものである。これを見ると、書き言葉だけでなく、話し言葉も「正しい日本語」は、常に変化してきていることがわかる。残念ながら戦前期の放送の音声による記録は乏しい。本書は、戦前からの話し言葉について理解するうえで貴重である。
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戦前のラジオ放送と松下幸之助 -宗教系ラジオ知識人と日本の実業思想を繋ぐもの- 坂本慎一著 PHP研究所 2011年 2,200円+税

松下幸之助の学歴が尋常小学校中退であったことは良く知られている。読み書きが苦手だった幸之助はあまり本を読まなかったという。しかし、松下幸之助は戦後PHP運動を始め、高いレベルの思想家となった。あまり本を読まず、学校に行かず、先生に師事することも無く、彼はどうやって高い教養を身につけたのか。著者は、戦前の教養ラジオ番組に多く登場した仏教、神道系知識人に着目し、彼らの思想と幸之助の思想を比較することで、影響の有無を検証していく。本書は、タイトルから想像されるようなラジオ史の本ではなく、現代思想の研究書である。しかし、いたずらに言葉をもてあそび、殊更難解な表現で読者を煙に巻く(アカデミックとも言う)ような人文系独特のスタイルは無く、研究書としての厳密さは備えているが文章は平易である。本書は、ラジオの講演を、辻説法などの系譜とつながる言葉により広められる思想と位置づけたところに特徴がある。ラジオの影響力を考える上で示唆に富む一冊である。
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ラジオの時代 -ラジオは茶の間の主役だった- 竹山昭子著 世界思想社 2002年 2,800円+税

放送研究を専門とする著者が、放送開始から終戦直後までの放送の歴史の中で、重要な出来事を掘り下げることで、日本のラジオのメディアとしての特性を明らかにしようとしたものである。取り上げられているのは「時報」、「天皇報道」、「スポーツ、オリンピック中継」、「ラジオドラマ」、「ラジオ体操」、「占領期のラジオ」である。いずれの項目からもラジオ放送が人々の生活、文化にどのように影響を与えてきたが描かれている。
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ラジオの歴史 -工作の<文化>と電子工業のあゆみ- 高橋雄造著 法政大学出版局 2011年 4,800円+税

タイトルはシンプルだが、本書はラジオ史の通史を紹介するものではない。日本のラジオの発達には、自作を楽しむアマチュアやラジオ雑誌、通信教育などの、著者言うところの"unofficial"な存在が、大きな力を発揮してきた。そして、多くの技術においてこのような現象は発明当初のみに見られるものだが、日本のラジオについては、これがかなり長い間一定の力を持っていたという特徴がある。
 本書ではこれらunofficialなセクターの貢献について、著者が長年にわたり研究してきた結果の集大成である。省みられることの少ないアマチュアやラジオ商などの役割を多くの貴重な図版を交えて詳細に描き出している本書は、ラジオの研究者だけでなく、昭和20年代から30年代にかけてラジオ少年だった読者の興味をそそるものであろう。
 昭和のラジオに興味を持つ読者が最初に本書に触れても、十分楽しめる内容ではあるが、特殊な分野を詳細に取り上げただけあって、放送局やメーカー、監督官庁などの視点で語られる"official"な放送やラジオの歴史についての記述は最小限とされているため、他の文献などによって、歴史の流れをある程度押さえた上で本書に取り組んだほうがより深く理解することができるだろう。専門書ゆえに高価格なのが残念だが、ぜひとも一読をお勧めしたい。
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戦前日本のエレクトロニクス -ラジオ産業のダイナミクス- 平本 厚著 ミネルヴァ書房 2010年 5,500円+税

日本の無線技術は欧米での発明からさほど遅れることなくスタートすることができた。しかし、それがラジオ産業として成長する中で、欧米から大きく立ち遅れたまま終戦を迎えることになった。本書はこの過程を膨大な資料の分析から経済学者の視点で解き明かしたものである。いままで、アンティークラジオそのもののガイドブックや、技術開発や発明家の視点から捉えた技術史、特定の企業の社史は数多く存在するが、日本のラジオ産業を、経済や企業経営の立場から捉えた研究は貴重である。
 日本のラジオの歴史に興味を持つものにとって貴重な資料となるだけでなく、順調にスタートしながら日本市場の特殊性におぼれて立ち遅れてしまった歴史は、現代、そして未来の日本の産業発展を考える上でも多くの示唆を与えてくれる。専門書ゆえに高価格なのが残念だが、ぜひとも一読をお勧めしたい。
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もうひとつの昭和 NHK外国放送受信部の人びと 香取俊介著 講談社 1994年 1,748円

1953年から77年まで、NHKには、外国のラジオを傍受する専門の部署である「外国放送受信部」があった。そこに勤めた人々は、多くがロシア、朝鮮半島、中国など外国で生まれ、太平洋戦争やその後の冷戦下の朝鮮戦争など、激動の国際情勢の中で亡命や引き上げで日本にたどり着いたコスモポリタンたちだった。彼(彼女)らには、歴史に翻弄されながら数奇な人生をたどった人が少なくなかった。東京外語大卒の著者は1968年から廃部となる1977年までこの部署に勤務し、その後脚本家に転向したジャーナリストである。筆舌に尽くしがたい経験を引き出したインタビューは、同じ職場の仲間であった著者でなければ困難だっただろう。著者はまた、NHKという巨大な組織の体質に対して厳しい視線を向けている。日本の中での外国人、また、情報収集や国際報道などに対して多くの示唆を得ることができるだろう
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史料が語る太平洋戦争下の放送  竹山昭子著 世界思想社 2005年 1,900円

太平洋戦争中の放送に関する資料のうち、重要な内部資料はその多くが敗戦時に破棄された。本書はメディア史の研究家である著者が、NHK、国立公文書館などに残された史料および雑誌、新聞記事を通して戦時中の放送の実態をまとめたものである。
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ラジオの戦争責任 坂本慎一著 PHP新書/法蔵館文庫 2008/2022年 760円/990円

太平洋戦争の完遂にラジオはどうかかわったのか。本書は1971年生まれの若い経済学者がこの疑問に答えるために5人のラジオにかかわった人物を取り上げている。外務大臣松岡洋右、情報局総裁下村宏という政治家と共に講演放送で人気を博した仏教思想家およびラジオを作り、普及させた人物として松下幸之助を取り上げていることで、幅広い厚みのある内容になっている。
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幻の放送局-JODK 篠 慧子著 鳥影社 2006年 1,500円

日本統治下の朝鮮半島で1926年から1945年まで活動した京城中央放送局JODKについては、よく知られているとは言い難い。日本で4番目に与えられたコールサインは終戦時に消滅して以来、再び与えられることは無い。著者は、JODK創設からかかわり、終戦時に局長であった篠原昌三氏の三女である。本書は自らの引き上げ時の経験や、当時の生存者の証言をまとめてJODKおよび朝鮮半島の放送局の素顔を描いたドキュメンタリーである。
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「声」の有線メディア史 坂田謙司著 世界思想社 2005年 2,800円

「有線放送」は、戦前のラジオの共同聴取から始まり、戦後、農村の農村有線電話として広く普及した。その多くは設置者の自主的メディアとして発展したという特徴を持つ。本書は「メディアの生涯」をテーマに、有線放送の歴史を社会学の観点から研究した労作である。
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ピーストーク 日米電波戦争 北山節郎著 ゆまに書房 1996年 2,600円

第二次大戦中、放送協会および同盟通信は大量の海外放送を実施した。そして、アメリカ側に膨大な傍受記録が残った。書名の「ピーストーク」は、この傍受記録のなかで和平に関する項目の分類名である。NHKで長年、国際放送にかかわり、その歴史研究をライフワークとする著者がアメリカで公開されている傍受記録を調査し、対戦末期から終戦までの国際放送の動きを克明にまとめたもの。国際放送の資料は日本国内に残っていないので貴重なものである。入手しずらいかもしれないが、同著者の「ラジオ・トウキョウ」および海外放送研究グループ編による「NHK戦時海外放送」(原書房)もお勧めできる。
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日本の放送をつくった男 フランク馬場物語 石井清司著 毎日新聞社 1998年 1,500円

戦後、占領軍の民間情報教育局(CIE)ラジオ課の中心となって日本の戦後の放送のあり方の形成に大きく貢献した日系二世のアメリカ人、フランク馬場氏の足跡をたどるドキュメンタリー。GHQの厳しい検閲が行われたことで知られる占領時代だが、日本人を深く理解する氏の存在が戦後の放送を良い方向に導いたと言える。上記国際放送の歴史と併せて読むと非常に興味深い。
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無線百話 若井 登 監修 クリエイト・クルーズ刊 1997年 4,000円

本書はマルコーニによる無線電信の実験から100年の記念事業として編纂された。通信の始まりから現代のディジタル、衛星通信まで一般向けに平易にまとめられている。後半の現代の技術については、当時の「郵政省」臭が多少鼻に付くところはあるが、歴史については非常に良くまとめられていて、特にラジオ放送以前の電波の歴史を理解するには最適であるといえる。
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幻の声 NHK広島8月6日  白井久夫著 1992年 岩波新書 580円

原爆投下直後、美しい女性の声をラジオで聞いたという投書から放送50年記念のラ ジオドキュメンタリーにまとめた筆者が、その後も8月6日の放送を追求し、まとめた もの。壊滅したはずの広島放送局から流れた声の正体についてはお読み頂くとし て、被爆の瞬間の軍、放送局の動きを秒単位で検証していく中で、当時の情報伝達、 防空体制の欠陥が明らかにされていき、非常に興味深いものがある。
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検閲放送 柳澤恭雄(やなぎさわやすお)著 けやき出版 1995年 1,800円

1938(昭和13)年に放送協会に入り、1950(昭和25)年まで、報道部副部長の要職にあって戦時統制下の報道を担当し、戦後は放送記者制度の確立に尽力した著者が報道統制を自らの経験を通してつづった作品で、著者の報道の自由に対する信念がにじみでた労作。終戦の前日、放送会館で反乱軍の将校と向き合った著者により「日本のいちばん長い日」の放送開館の場面がフィクションである事が述べられている。戦時下の報道についてより詳しく知りたい向きには「NHK報道の50年」近藤書店刊 2,500円をお薦めする。
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戦雲に消えたパラオ放送局 立澤正雄著 エイジ出版 1980年 980円

パラオ放送局(JRAK)は守備隊の玉砕により悲惨な最期を遂げた。本書は当時パラオ局に勤務し、奇跡的に生還した著者が日記を元にまとめた記録である。
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JODK消えたコールサイン 津川 泉著 白水社 1993年 1,800円

朝鮮中央放送局の開局から終戦までを放送作家である著者がまとめたもの。玉音放送が朝鮮でどのように放送され、受けとめられたかも述べられている。
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現代民話考(第二期)Ⅲ ラジオ、テレビ局の笑いと怪談 松谷みよ子編 1987年 立風書房 2,000円 

放送局を閉鎖された一つの「ムラ」としてとらえ、そこに語り継がれる珍談、奇談、 伝説のたぐいを現代の「民話」として採集したユニークな本。 スタイルは田舎に伝わる民話、伝承の採集と同じ形をとり、編者の私見を排し、藤倉修一氏をはじめとする放送関係者の証言も一視聴者の記憶も差別なしに扱っている。内容は放送初期の信じられないような珍談、爆笑ものの失敗談から局内のぞっとする怪談 まで幅広く収録され、楽しめる。その後2003年にちくま文庫より「現代民話考(8)」として刊行されたが絶版。
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真空管の伝説 木村哲人(きむら のりと)著 筑摩書房 ちくまプリマーブックス145 2001年 1,200円+税 

長年映画テレビの録音技師を務めた著者が、真空管を通してラジオの歴史をまとめたもの。1933年生まれで電池式受信機時代を知る著者の実体験が生きている。第2次大戦から戦後にかけての記述にはリアリティがあり、興味深い。
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真空管半代記 藤室 衛著 2000年 東京文献センター 1,890円

1950年代からアマチュア無線に取り組んできた著者(JA1FC)が、自身の半生を振り返りながら特に日本の真空管を中心に歴史をまとめたもの。受信管を中心に軍用真空管、送信管、また、日本独自の真空管など幅広く紹介されている。
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玉音放送・終戦


8月15日[玉音放送]の音響考古学 藤田赤目著 地人社 2024年 1,250円(税込み)(kindle版電子書籍))/ 2,500円+税(オンデマンド版冊子)

著者は、劇場を中心に活躍するプロの音響エンジニアである。音響及び録音、再生に造詣の深い著者が、その知識と技術を生かして玉音盤の謎に取り組んだ力作である。玉音放送については良く知られ、著作や文献も多いが、掘り下げて調べてみると、実際には何枚の録音盤が存在したのか、どのテイクが放送されたのかなど、諸説あってはっきりしないことがあまりにも多い。録音した部屋の広ささえ資料によって大きく異なるのである。本書では、著者が「音響考古学」と称する、史料と音声の音響学的な分析を併用して歴史を研究する手法で、NHK所蔵の音声や宮内庁発表の音声だけでなく、市販のテープやレコードに残された玉音盤の音声を最新の音響技術によるスペクトログラムなども使用しながら、録音の方法や制作の謎について分析している。特に、NHKが公式に発表する以前に公開された週刊読売の音声の存在は、NHKと宮内庁の音声以外に録音が残されていたことを示唆している。調べれば調べるほどわからないことが出てくる玉音放送だが、本書は、音響エンジニアの視点で新たな視点を与えるものと思う。

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昭和二十年八月十五日 夏の日記 河邑 厚徳著 角川文庫 1995年 (絶版書)

NHKのディレクターの著者が、番組制作のために全国の玉音放送を聞いた当日の日記を収集し、そのまま掲載したもの。有名人や政治家も含まれるが、多くは一般庶民である。市民だけでなく兵士や外地に在住していた日本人も含まれる。多くの日記を網羅したことで、玉音放送の受け手の実態が浮かび上がってくる貴重な書籍である。

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増補 八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学 佐藤卓己著 ちくま学芸文庫 2014年 1,200円+税

玉音放送や8月15日に関する本や記録は数多く存在するが、本書は、8月15日の意味を徹底して追求したものである。著者は、「玉音放送を聞いている瞬間」と称する写真に疑問を持ち、真偽を追及していく。そして、その写真を掲載した15日、16日の新聞報道を検証し、その後の報道、時代により変わっていく教科書の記述、各国の終戦記念日などを論じながら、なぜ8月15日という、「終戦の詔書」が出された日でもなく、国際標準といえる「降伏調印」が行われた9月2日でもない日が「終戦記念日」となっていったかを、メディア史の視点から深く追及している。

本書は、戦後60年の2005年にちくま新書で出された同名の書を加筆訂正し、ごく最近(2014年)の状況を考慮した補論3篇を追加したものである。 本書には、1960年生まれの戦後の混乱期も知らない戦後世代(本書では「戦無派」と呼んでいる)の著者による、戦争の記憶を長く伝え、未来志向で歴史をとらえていくための提言が示されている。テレビや新聞による夏の「8月15日ジャーナリズム」に慣らされている私たちに、歴史をとらえ直すきっかけを与えてくれる良書である。
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玉音放送 竹山昭子著 晩聲社 1989年 1,200円

日本の歴史、また放送の歴史の中でも重要な玉音放送。終戦の日を取り上げた文献は多いが、本書は、放送研究を専門とする著者が、残された史料を分析し、放送の送り手、受けて両方の立場から玉音放送を深く掘り下げている。巻末にまとめられた史料は貴重である。
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玉音放送をプロデュースした男-下村 宏 坂本慎一著 PHP研究所 2010年 2,300円+税

終戦当時の情報局総裁として、玉音放送の成功に深くかかわった下村 宏、彼は朝日新聞在籍当時、放送開始直後からラジオ講演に出演し、講演の名手として有名だった。ラジオや新聞の影響力を良く知っていた彼は、早くから天皇の声を電波に乗せることを考えていた。結局、それは昭和20年8月15日に実現し、戦争の終結に大きな効果をもたらした。下村の業績をまとめた文章は少なく、自著も多くが入手難となっている現在、本書は貴重なものである。PHP研究所に所属する著者だけに、下村と松下幸之助の交流についても述べられているが、同郷であることから交流があったことは間違いないとしても、この点については記述に無理があるように思える。
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決定版 日本のいちばん長い日  半藤一利著 文芸春秋 770円(文春文庫版、税込み)

1965年、当時は著者が無名だったために大宅壮一編で発刊されて評判になった同題のドキュメンタリーを加筆、訂正したもの。8月15日の玉音放送に至る1日を描いている「終戦もの」の定番。現在は文春文庫より刊行。1967年に映画化された同タイトルの映画、および2016年のリメイク版もお勧めする。
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終戦秘史 下村海南(宏)著 講談社学術文庫 1,000円

放送協会会長から終戦時に鈴木内閣の情報局総裁であった著者が終戦前後の事情をまとめて昭和24年に出版されたもの。正式な議事録が存在しない終戦直前の閣議、御前会議の内容を詳細に知り得るのも著者の記録があってこそである。また、玉音盤の録音時に昭和天皇に”キュー”を出したのは著者である。資料的価値が高い本書は残念ながら現在絶版となっている。
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社史、技術開発、電機・電子業界


決断 パナソニックとソニー、勝負の分かれ目 藤本秀文著 日本経済新聞出版 2024年 1,700円+税

パナソニックとソニー、日本の高度成長を担った電機業界の2大メーカである。アップルが経営不振だった時に、ソニーに買収提案があったという。現在、今一つ勢いのない日本のエレクトロニクスを代表する2社の歴史上の経営判断を取り上げ、「どこで間違えたのか、再生の課題はどこにあったのか」を当事者への取材を通してまとめたもの。後から「神様の視点」で経営判断の評価することは容易である。だれしも経営不振にしようと思って経営することはないだろう。しかし、実際には30年間、何をやっていたのかという結果になってしまっている。本書ではその原因を「大企業病」に求めている。具体的には寄らば大樹の陰、保身といった言葉が浮かぶ。過去だけでなく、未来への示唆もあるが、少しつらい読後感となるかもしれない。

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シャープ再生への道 戴正呉著 日本経済新聞出版 2023年 1,700円+税 

2016年に台湾の鴻海精密工業から、シャープの社長に就任し、東証一部への復帰を果たして2022年に退任した著者が、その再建の過程を中心に自ら語ったもの。経営危機に陥ったシャープが鴻海の傘下に入る過程で、私は多くの放送を目にしたが、日本のメディアの見方は台湾の出資者に対して好意的ではなかったと記憶している。本書は、台湾側の視点で見たシャープの再建だけでなく、日本と中国でビジネスの経験を積んだ自身の自叙伝の性格も持っている。このため、台湾の電子業界の発展の歴史を理解することもできる。

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家具調テレビの誕生 -テレビ受像機のデザイン変遷史- 増成和敏著 三樹書房 2019年 2,800円+税

1980年代に松下電器でデザイナとして活躍し、現在は芝浦工大でデザインを教える著者が、1960年代後半から70年代にかけて一世を風靡した「家具調テレビ」、特にその代表的なモデルであるナショナルの「嵯峨」を中心に、戦前のアメリカのテレビに始まるテレビのデザインの歴史を、多くの図版とともに解き明かしている。著者は「家具調テレビ」の流行が終わった頃に入社しているため、そのデザインに直接タッチしていないが、多くの松下電器OBへのインタビューや社内資料の解析をもとに、デザインの成り立ちや変遷を詳述している。60年代以前のテレビのコレクターにとっても有用な書であるが、工業製品の企画、設計、デザイン関係者、また、デザイナーを目指す多くの読者に勧められる。
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電子立国はなぜ凋落したか 西村吉雄著 日経BP社 2014年 1,800円+税

このところ、半導体やAV機器、通信機器などの日本の電子業界の元気がない。戦後、急速に発展し、1980年代には世界一だったこの業界はどうなったのか。本書は、この疑問に、統計を駆使して日本の電子業界がどこでつまづいたかを白日の下にさらしていく。1970年代からジャーナリストとして電子業界を見てきた著者の分析は的確で鋭い。何らかの形で電子業界に関係するものにとっては、将来を考えるうえで必読書といえるだろう。
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血族の王 -松下幸之助とナショナルの世紀- 岩瀬達哉著 新潮社 2011年 1,600円+税

松下幸之助の伝記である。類書は数多く存在するが、本書は神格化された幸之助を礼賛するものでもなければ、暴露本でもない。幸之助の生涯を家族を中心とした人間関係を通して描いている。著者は幅広い関係者に取材し、多くの文献にあたっているが、松下電器やPHP研究所の協力はできる限り仰がない方針で取材したと、あとがきで述べている。本書は、人間としての等身大の松下幸之助を鮮やかに描いている良書であると同時に、従来の松下の正史からは理解しにくかったナショナルの歴史の疑問を明らかにしてくれる本でもある。
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白いツツジ 「乾電池王」屋井先蔵の生涯 上田明博著 PHP研究所 2009年 1,700円+税

乾電池が日本人の発明品であることはあまり知られていない。本書は、時計職人から身を立て、一代で乾電池メーカを立ち上げた屋井先蔵の伝記小説である。明治人の文明開化にかける熱気が伝わってくる良書である。
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電機・最終戦争 -生き残りへの選択 日本経済新聞社編 日本経済新聞出版社 2012年 1,300円+税 

ここ数年の日本の電機業界の凋落傾向は著しい。本書は日経新聞の連載を元にしたもので、凋落の原因を分析し、未来への処方箋を示す典型的なビジネス書である。しかし、数年で歴史書となるであろう。2005年に日経BP社から出された「決戦 薄型テレビ最終戦争」を改めて読むとたいへん興味深い。2012年1月に刊行された本書にはエルピーダメモリの経営破綻はもちろん取り上げられていない。家電凋落の分析としては、週間ダイヤモンド2011年11月12日号「家電淘汰!」が、歴史を踏まえた的確な分析を掲載している。合わせて読まれることをお勧めする。
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決戦 薄型テレビ最終戦争 寺山正一著 日経BP社 2005年 1,600円+税

21世紀初頭の、ブラウン管から液晶、プラズマに転換するテレビ業界の激動の競争を、松下、ソニー、シャープの3社の動きを中心に描く。長期にわたる著者の取材は、20年にわたるトリニトロンの成功が、ブラウン管から薄型ディスプレイへの転換を遅らせ、ソニーの不振につながったことを明らかにする。 実は、薄型テレビの戦争は、本書のタイトルどおり「最終戦争」とはならなかったことは、最近のテレビ業界の状況を見れば明らかである。本書の出版からわずか数年後には1インチ1万円以下で「低価格」としていた記述は古いものになっていた。「最終戦争」の結果は、日本メーカすべての敗戦に終わった。現代のテレビの状況を頭に置きながら読むと興味深い。
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会社が消えた日 -三洋電機10万人のそれから- 大西康之著 日経BP社 2014年 1,600円+税

パナソニックに買収された三洋電機は2011年3月に上場廃止、事業はパナソニックに吸収、または切り売りされて三洋電機は消滅した。本書は、同じ著者による「三洋電機 井植 敏の告白」の続編である。ここで三洋がパナソニックに吸収されるまでを描いた著者は、その後も取材を続け、パナソニックに吸収されてから消滅するまでを追い、三洋を離れた同社社員のその後を丹念に取材し、本書にまとめている。大企業であっても決して安泰でないのが現実であることを思い知らされる厳しい内容の本だが、元社員たちがそれぞれ活路を見出して活動している様子にはわずかに希望を見出せる。
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三洋電機 井植敏の告白 大西康之著 2006年 日経BP社 1,700円+税

戦後、ラジオ業界に参入して成功したのは、大手重電メーカーを除けば、三洋とソニーしかないといえる。しかしながら、三洋電機の経営は混乱し、とうとう創業者の古巣であるパナソニックの子会社となった。本書は歴史というにはあまりにも生々しいものだが、同社の危機の原因が長い歴史の中で経営者一族によって作られたものであることが良くわかる。
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画の出るレコードを開発せよ! 神尾健三著 草思社 1995年 1,600円

松下電器でビデオディスク開発に従事した著者がビデオディスク草創期からレーザーディスクの成功までの開発の激しい競争を生々しく描いたもの。現在ではビデオディスクといえば光ディスクというのが当たり前になっているが、最初のビデオディスクは針を使う方式であった。世界の一流メーカーの技術者たちが100年間続いてきた円盤上の溝を針でトレースして信号を拾うという発想にいかに縛られてきたかという点が興味深い。特にRCA、ビクターというレコードプレーヤーの技術で一流の老舗だったメーカーが針にこだわって失敗し、そこから比較的遠いところにいたフィリップス、パイオニア、ソニーが光ディスクにたどり着いたというのもおもしろい。
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シャープを創った男 早川徳次伝 平野隆彰著 日経BP社 2004年 1,800円

シャープペンシルの発明から日本を代表する家電メーカーを起こした創業者の伝記。その人生は松下幸之助ほどには知られていない。本書によれば氏の少年時代は苦労が多かった、というよりは悲惨といったほうが良い境遇であったようである。戦前のシャープに関しては松下ほど良く知られていないが、実は松下電器よりもはるかに早くラジオに取り組み、量産化に成功していたことは特筆できる。ラジオ放送開始前から、コンピューターを量産する時代までエレクトロニクス産業の最前線にいた氏の業績はたいへん興味深い。
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テレビ人生一筋 -技術者の65年- 久野古夫著 日経BP企画 2001年3月 1,600円

著者は1935年から松下電器においてテレビ開発に携わってきた。戦前の実験放送からBSまで日本のテレビ史をすべて知る著者の自伝である。今まで知られることのなかった内部事情が理解できて興味深い。技術的な解説も丁寧で理解しやすい。
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HPウェイ -シリコンバレーの夜明け デービッド・パッカード著 伊豆原 弓訳 日経ビジネス文庫 2000年 600円

ビル・ヒューレットと著者によりカリフォルニア州パロアルトのガレージから始まったHP社が計測器、コンピュータ機器の大企業になるまでの歴史と経営理念を創業者本人が語る。HP、テクトロなどの計測器を愛用するものには興味深い内容である。
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映像メディアの世紀 -ビデオ・男たちの産業史 佐藤正明著 日経BP社 1999年 1,900円

陽はまた昇る -映像メディアの世紀- 佐藤正明著 文春文庫 2002年 1,009円(Kindle版)

ホームビデオ開発の歴史を600ページの大部にまとめた労作である。放送用ビデオの試作から説き起こされ、ビクターのVHS開発から成功までを中心に当時の背景を含め詳しく述べられている。本書は、映画『陽はまた昇る』の製作にあわせて改題され、文春文庫より刊行された。
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エジソン発明会社の没落 アンドレ・ミラード著 橋本毅彦訳 1998年 朝日新聞社 2,900円

原題を ”Edison and the Business of Innovation” という。タイトルの通り、これはたくさん出されているエジソンの少年時代から電球や蓄音機を発明するまでの立志伝ではなく、その後の経営者としての失敗と転落の物語である。最近整理、研究が進められている膨大な「エジソン史料」を分析し、19世紀末から20世紀前半において電気、オーディオ、映画などの重要な発明により世界に大きな影響を与え、価値観を変えたエジソンがその中でどうなっていったかを冷静な視点で論じている。本書でも触れられているが、エジソンはラジオ生産への進出が遅れたことで大きな損失をこうむった。しかし、2極管の原理の発見、またフェッセンデンなどの優秀な人材がエジソンのもとで育ったことなど、ラジオの歴史との関わりは小さくない。
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ソニー


「ソニー」創造への旅 井深大 著 井深亮 序 グラフ社 2003年 1,500円+税

1985年に著されたソニー創業者の自伝を息子の亮氏の序文を追加して復刊したもの。ラジオ少年だった少年時代など、ソニー創業以前について詳しく語られているのが興味深い。
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ソニー技術の秘密 木原信敏著 ソニー・マガジンズ 1997年 1,748円+税

ソニーの創業間もない頃からテープレコーダーの開発に従事し、ソニー木原研究所で知られる著者が、自身の半生を語った自伝。テープレコーダー、トランジスタラジオ、VTR、トリニトロンなど、有名なソニーの新製品開発の現場が饒舌に語られ、興味深いだけでなく、優秀な技術者である著者の思想は、技術者のあり方を考え直すきっかけとなる。ソニーの歴史に興味を持つ人だけでなく、若い技術者、理工系の学生にぜひお勧めしたい。
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CD、ビデオ


音声資料による実録 大東亜戦争史 (CD) 山中亘監修 1997年 日本コロムビア 10,500円

太平洋戦争開戦直後に発売されたSP盤「勝利の記録」をベースとして太平洋戦争開戦から終戦までの演説、ニュース、大本営発表などの貴重な音源をCD5枚にまとめたもの。終戦の詔書(玉音放送)の全文が収録されているのも興味深い。本CDは1977年にLPで発売された音源をCD化したもの。再発版がコロムビア・ファミリー・クラブで発売されたが、現在は入手できない模様。

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技術史、メディア史


古いメディアが新しかった時 -19世紀末社会と電気テクノロジー- キャロリン・マーヴィン著 吉見俊哉・水越伸・伊藤昌亮訳 新曜社 2003年 4,500円+税

本書は、タイトルの通り、120年以上前の最新技術だった電話、電灯が登場して、様々な人々の反応を詳細に研究したものである。Electricianという今では死語になった電気の専門家と、電気を驚きをもって迎えた大衆との関係、番号さえ知れば、だれでもかけることができる電話が、厳格に分けられた世界にいた上流階級にとっては脅威であっただけでなく、男女関係や地域や人種などによる格差にも影響を与えたことが詳述される。また、電灯がメディアというと不思議な気がするが、単なる照明というだけでなく、華麗なスペクタクルや広告の手段として電気照明が使われるようになったのである。ブダペストにあった電話配信システム「テレフォン・ヒルモンド」では、後の放送の番組とほぼ同じものが配信されていたし、多数の交換手が楽器を分担して電話回線上でコンサートを開くこともあった。
現代の感覚では奇妙な反応や奇想天外な想像などを興味深く読み進むうち、すでに電気通信もLED照明も当たり前になっている私たちも、SNSが分断をあおると憂慮し、ライトアップやプロジェクションマッピングを楽しみ、AIなどという、よくわからない新技術をありがたがったり恐れたりしているし、コロナ禍で大勢がリモートでコンサートを開催したこともあったことに気付く。意外に人間の本質は変わっていないようである。「新しい」つもりのメディアに日々接する現在、1世紀以上前に驚異の新技術に接した人たちのことを知ることでメディアとの付き合い方を見直すきっかけになる良書である。大部の専門書だけに高価なのが難点だが、図書館で手に取るのもよいだろう。

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電子楽器 -過去・現在・未来- 三枝文夫著 ミュージックトレード社 2021年 1,800円+税

シンセサイザーで知られるコルグで、長年にわたって多くの電子楽器の開発に携わった著者が専門誌に連載した文章をまとめたもの。長い歴の中で様々な電気・電子楽器が作られてきたことがわかる。本書は、通史ではなく、テーマごとに独立した文章が並ぶ構成となっていて、各項目は、単に歴史的な楽器を取り上げるだけでなく、本書の副題にあるように、過去、現在、未来を考察する内容となっている。多くの電子楽器は、伝統的な楽器のように長く使われることがなかったものが多いが、当時のハイテクを使って新たな表現に挑んだ先人たちの努力には頭が下がる。多くの写真や図版とともに著者の手によるイラストも多く添えられている。電子楽器のベテランによるエッセイ集として読んでも楽しい。
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音響メディア史 谷口文和 中川克志 福田裕大著 ナカニシヤ出版 2015年 2,300円+税

本書はタイトルが示す通り、レコードやテープなどの音響メディアの通史であるが、オーディオ技術の歴史ではなく、あくまでもメディアと、そのメディアを使い、受け入れる人や社会との関係を中心に論じている。扱う時代は幅広く、エジソン以前から現代のネットメディアまで取り上げられている。本書はその視点が取り上げる時代に関係なく一貫しているため、新しいと思われる最近のディジタルメディアも、かつての音響メディアと同じように社会との関係性の中で存在しているということに気付かせてくれる。また、本書が、比較的論考が少ないディジタルオーディオやシンセサイザなども丁寧に取り上げている点は評価できる。
本書は教科書として使いやすいように、各章末に「ディスカッションのために」と題する課題が、比較的参照しやすいものを中心とした参考文献とともに提示されている。19世紀から21世紀までの時代を300ページ余りのペーパーバックに収めるために、各項目の記述は概観的にならざるを得ない。また、技術史的な視点からは正確性を欠く記述も見受けられるが、本書の価値を損なうものではないだろう。本書をきっかけとして、参考文献によって、より深い理解につなげていくことが大切である。また、本書が、「メディアの未来」と題するシリーズの1冊として刊行されたことに意義がある。
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満州国のラジオ放送 代珂著 論創社 2020年 3,000円+税

本書は、中国籍で日本で研究を続ける著者の力作である。現地語の第二放送を含む幅広い満州国の放送の内容に着目し、分析している。特に、中国に保存されている当時の放送の録音盤のリストが公開され、掲載されたことは特筆に値する。残念ながら録音盤の内容は公開されていないが、出版物に掲載された脚本なども掲載され、満州国の放送の実情に光を当てている。また、満州電々のラジオ事業の状況を述べる中で、ラジオセットの普及、販売状況についても詳述されている点も類書にはなく、貴重である。
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満州電信電話株式会社 -そのメディア史的研究- 白戸健一郎著 創元社 2016年 3,600円+税

1930年代、満州国ではMTT:満州電信電話(株)という民間会社(国策会社ではあったが)が電信電話だけでなく、放送事業も運営していた。NTT:日本電信電話(株)が設立される半世紀前の事である。本書は、この特異な通信会社を多くの文献、データを分析して詳細に研究することで1930年代から太平洋戦争までのアジアの電気通信の実態、位置づけを解き明かしている。MTTでは、受信料を徴収する形で放送事業を運営していたが、一時期広告放送が実施されるなど、日本国内より先進的な取り組みが実施されていた。本書では、MTTのOBが戦後の民間放送にどう貢献したかにも言及されている。満州だけでなく日本の影響下にあった東アジアの放送、電気通信を知ることができる良書である。MTTは「電々型ラジオ」を販売していたが、ラジオセットの生産、販売についてはほとんど言及がないのが残念である。
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増補改訂 戦争・ラジオ・記憶 貴志俊彦 川島真 孫安石 編 勉誠出版 2015年 6,800円+税

東アジア、中国近現代史の研究者がまとめた中国、朝鮮半島、台湾の戦前、戦中期を中心とするラジオに関する論考をまとめたもの。本書は第1部、「戦争とラジオ」で。日中戦争とラジオを取り上げ、第2部「ラジオと帝国」において、植民地であった朝鮮と台湾のラジオ放送を取り上げている。2006年に発行された旧版ではこの2部が中心であるが、増補改訂版では第3部として「冷戦とラジオ」が追加された。ここでは戦後の台湾、朝鮮半島のラジオと米国統治下の沖縄のラジオについて述べられている。日本では戦後の東アジアの状況についてよく知られていない。その点でこの第3部は貴重である。第4部を前半の3部のまとめとし、後半は文献と関連する博物館、資料館等の紹介に充てられている。本書は東アジアの放送について広く理解でき、資料的価値も高い良書であるが、残念ながら大部となったため高価であることが欠点である。
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メディア技術史 -デジタル社会の系譜と行方- 改訂版 飯田 豊編著 (株)北樹出版 2017年 1,900円+税

最新のネットやSNSも、新聞や映画などの古くからあるものと同じメディアの一つに過ぎない。本書は、メディア論を学ぶテキストとして、印刷術以来のメディアの歴史を概観し、現代のメディアと比較しながら論じることで、メディアの本質を理解できるようにしている。もちろん、ラジオやレコードもその一つとして取り上げられている。各項目の記述は短いものにならざるを得ないが、年代も形態も全く異なる多くのメディアを同じ視点で見ることができ、新鮮である。各メディアをより深く知りたいときのために、引用文献だけでなく、入手しやすく、読みやすいものをピックアップした図書ガイドが示されている。本書は、2013年に発行された初版を、その後のIT技術の変化などに対応して改定したものである。メディア史を学ぶ初学者にお勧めのテキストである。
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グラハム・ベル空白の12日間の謎 セス・シュルマン著 吉田三知代訳 日経BP社 2010年 2,200円

電話の発明者として広く知られるアレキサンダー・グラハム・ベル。彼の特許がライバルとのタッチの差で先行したという逸話も良く知られている。ベルに関する膨大な資料を所蔵するMITの研究所で技術史を研究する機会を得たサイエンス・ライターである著者は、一次資料を調査するうちに、ベルの発明そのものに大きな疑惑を抱く。ベルの研究ノートに残された不審な研究の飛躍、それは何を示すものなのか。偉大な発明家にまつわる疑惑を追求するミステリー小説以上のおもしろさだけでなく、本書には、一次資料の取り扱い方をはじめとする歴史研究の正しい方法を教えてくれる面もある。通信、特許の歴史に関心のある読者だけでなく、本書は歴史学を目指す者にも多くの示唆を与えてくれる。
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「はかる」世界 松本栄寿著 玉川大学出版会 2000年 2,600円+税

「はかる」ことは、はるか古代から行われていた。本書は計測の歴史を通して測定の原理や意味を平易に解説した良書である。測定の中でも電気計測には、抽象的で目に見えないエネルギーを可視化する複雑な装置が必要となる。その点でいえばものさしや時計よりは、わかりにくい存在といえるかもしれない。歴史のある電気計測器メーカ、横河電機において技術館設立に従事した著者は、本書の後半で電気計測の歴史と原理について詳細に記している。
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雑録 明治の情報通信 鎌田幸蔵著 近代文芸社 2008年 1,300円

明治時代に確立された海底ケーブルによる国際有線通信、黎明期の無線通信がどのように設置され、日清、日露戦争を中心にどのように活用されたかを史料を基に平易にまとめている。明治の先達が、当時の最新技術であった無線電信をいかに貪欲に研究し、実用化していったかがよくわかる。大正、昭和期のラジオ、につながる歴史として明治期の通信の歴史を理解することは重要である。
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父マルコーニ デーニャ・マルコーニ・パレーシェ著 御松佳子訳 東京電機大学出版会 2007年 2,500円+税 

無線通信のパイオニアとして知られるマルコーニの長女(1908-1998)が残した伝記である。本書は、家族としてともに過ごしたものしか知りえない、マルコーニのきわめて人間くさい私生活を描いている点で興味深いが、著者が晩年まで勤めた「マルコーニ・インターナショナル・フェローシップ財団」の理事長として収集した膨大な資料を基に無線通信草創期の歴史をも正確に描いている点で、単なる偉人の家族による手記を超える価値を持っている。専門用語や難解な技術解説はほとんどなく、専門外の読者にも楽に読めるだろう。
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日本ロボット創世記 井上晴樹著 NTT出版 1993年 3,500円

「ロボット」という言葉は1920年、カレル・チャペックの戯曲の中にはじめて登場した。「人造人間」や「ロボット」は戦前には必ずしも空想の世界の産物ではなかった。本書は多数の文献、展示会に現れた戦前のロボットについて紹介したものである。表紙写真のロボットの胸に付いているのは、どう見てもエリミネータのラジオである。ラジオコントロールということだろうか。
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電気の歴史 -人と技術のものがたり- 高橋雄造著 東京電機大学出版局 2011年 3,000円+税

『百万人の電気技術史』の改訂版である。古代の電機現象の発見から、主要な電気に関する発明を説明している。電気の歴史が、当初電信に応用され、後に発電、送配電システムと電球の発明から電動機を使った動力への応用と進んだ関係で、電信や電話についても取り上げられている。また、後半は電気の応用としてラジオに始まるエレクトロニクスの発展に紙幅が割かれ、テレビやコンピュータの歴史について主に述べられている。このため、比較的最近の電気の歴史、原子力発電や太陽光発電、超高圧送電などについては触れていない。本書は電気技術者を主な読者としているが、一般の読者にも理解できる平易な記述となっている。しかし、個別の理論や用語についてはページ数の関係で解説されていない。電気工学を学んだ者には理解は容易だが、一般の読者は、Wikipediaなどで検索しながら読むと良いだろう。
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百万人の電気技術史 高橋雄造著 2006年 工業調査会 2,800円+税

静電気、高電圧工学の研究者である著者が古代から現代までの電気技術の歴史を平易にまとめた労作である。現代の私たちが当たり前のように使う電気機器、学校で習う初歩的な電気の法則が実は大変な発明、発見であることを理解できる。電気技術史というと、ともすると電気理論や重電の歴史に偏りがちだが、ラジオ史を研究テーマに持つ著者はラジオ、コンピュータなどについても多くの紙幅を割き、幅広い電気、電子の歴史を理解することができる。数式を使った難解な表現はなく、電気、電子工学を学ぶ学生だけでなく、歴史に興味を持つ一般の読者にもお勧めできる。本書は絶版で、同著者の『電気の歴史』があるが、一般の読者にはこちらのほうが理解しやすいだろう。
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日本のエレクトロニクスの源流 -電気試験所神代分室の記録-(上)(下)
高橋得雄 武田郁夫 今井哲二 編著 2001年3月 工業調査会 2,800円+税

1941(昭和16)年、東京都北多摩郡神代村(現、東京都調布市)に、電気試験所第4部から電子管研究部門が分離して分室が作られた。本書は戦後電通研電子管部となり、武蔵野通研に統合されるまでの10年間の記録を、当事者の回想を中心にまとめた労作である。近接信管、光通信など戦時中の軍関係の研究から戦後の通信用真空管CZ-501-D、504-Dの長寿命化のための研究、受信用真空管の耐久試験、光電管やマイクロ波用真空管の開発から半導体の研究まで、興味深い歴史が詳しく記述されている。知られることの少ない特殊管の貴重な資料である。
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ビジュアル版 日本の技術100年 第5巻 通信、放送  監修 向坊隆他 1987年  ちくま書房 7,000円

写真、図版を豊富に用いて日本の電気通信、放送の歴史を分かりやすくまとめた図 鑑。資料は放送博物館、逓信総合博物館などによるもので、解説は難しすぎず、か といって一般向けの簡単なものでもなく、ちょうど良いレベルでまとめられている。特に写真は仕上がり、内容ともに質が高く、TR-55や局型受信機の内部なども取り上 げられており、結構マニアックな内容になっている。
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ザ・サイエンス・ビジュアル 1 「電気」 スティーブ・パーカー著 1993刊 東京書籍 2,000円

本書は電気の歴史、原理を当時の機器の写真を中心にまとめたもので、DORLING  KINDERSLEY BOOKの"EYEWITNESS SCIENCE Volume1:ELECTRICITY"の翻訳版。「日本の技術100年」と構成は良く似ているが、こちらは英国科学博物館 協力とあるだけあってその内容の豊富さとレベルの高さには圧倒されるばかり。 電気の歴史として、ライデン瓶からテレビまでが順を追って紹介されているが、取 り上げられている物全てがすばらしいコンディションの本物、もしくはレプリカである。 それにしても英国科学博物館の歴史と奥の深さには驚かさる(1831年の実験器具のレプリカが1889年製なのだ!)。
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日本軍


大本営報道部 -言論統制と戦意昂揚の実際- 平櫛 孝著 光人社NF文庫 2006年 667円+税

現代でも「当てにならない数字」のたとえとして使われる「大本営発表」。著者は大戦当時、陸軍中佐として大本営報道部に勤務した。本書は実務に従事した本人が多くの資料を用いて大本営報道部の実態を記録した貴重な文献である。報道部勤務の後、参謀としてサイパンに赴任し、激戦の中で負傷、米軍の捕虜になり生還という数奇な運命を経た著者の筆致は赤裸々で当時の軍に対してきわめて厳しいものになっている。ともすれば美化もしくは正当化されることの多い回想録としてきわめて異例である。言論の統制、または企業を含めた組織のあり方を考える上で多くの示唆を与えてくれる。
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秘話 陸軍登戸研究所の青春 新多昭二著 講談社文庫 2004年 571円

ラジオ少年であった著者は終戦間際の陸軍登戸研究所に配属され、戦後ラジオ教育にかかわり、その後コンピュータ業界に進んだ。本書はユニークな経歴をたどった著者の自伝的エッセイである。日記風の文体でありながら、後から考えたとしか思えない部分が散見されるのが気になるが、興味深いエピソードが多く、おもしろく読める。
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海軍技術研究所~エレクトロニクス王国の先駆者達 中川靖造著 1990(単行本1987)年刊 講談社文庫 540円

本書は海軍技術研究所におけるレーダーを中心とした電波兵器の開発、実用化、そして失敗から、戦後、民間に転じた海軍出身の技術者たちがエレクトロニク ス、特に半導体の開発を成功させていく過程が生き生きと描かれている。
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軍用自動車入門  高橋 昇著 光人社NF文庫 2000年 867円+税

旧日本軍の軍用自動車、鉄道車両について詳述している。まとまった資料の少ない日本軍の軍用車両の文献は貴重である。無線車についても詳しく解説されている。
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軍事史


レーダーの歴史 英独 暗夜の死闘 辻 俊彦著 芸立出版 2012年 1,800円+税

テレビの設計者として海外駐在していた著者が趣味の航空史研究の傍ら、欧米の博物館で調査した欧州戦線におけるレーダーの開発、運用の歴史をまとめたもの。新型レーダーの開発とその攪乱、妨害技術の開発はまさに狐とタヌキの化かし合いといえるもので英国らしいウィットさえ感じられるが、実際には命を懸けた戦争なのである。矛盾という言葉が象徴するように兵器開発のむなしさが伝わってくる。なお、本書は著者が前書きで断っているように、主に英語の文献に基づいている。このため、英国側から見たレーダー史となっている。
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アマチュア無線


日本アマチュア無線外史 岡田次雄、木賀忠雄著 電波実験社 1991年 1,600円

本書は「月刊モービルハム」1986.1-1989.12に連載された同タイトルの記事を基にしたもので、CQ出版社の「アマチュア無線のあゆみ」の編集委員である著者が、この中で使いきれなかった資料を使ってまとめたもの。アマチュア無線の歴史だけでなく、初期の放送やラジオについても貴重な資料がたくさん紹介されている。 B5版、176ページ
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列伝アマチュア無線機50年史 マガジンランド発行 1995年 1,800円

国産アマチュア無線機全機種の一覧表を中心に歴史をまとめてある。回路図は少ないものの写真、図版も多く、資料的価値は高い。
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ラジオの技術、電気、エレクトロニクス技術一般


PSE読本 櫨山泰亮(はぜやま やすひろ)著 電波新聞社 2007年 2,100円

最近、騒動になったおかげで「PSE」の言葉は有名になったが、正確に理解されているとは言いがたい。電気製品の輸入、販売を業とする場合はもちろん、アンティークの電気製品を扱う上でも、安全を確保する法規についての理解は重要である。特に、時代が古いものは現在の製品より安全性が劣っているのは当然である上、経年劣化もあることを十分理解しなければならない。本書は、専門的知識を持たない輸入事業者向けに、専門家にとっても複雑な電気用品安全法およびその対処法について、登録検査機関に勤務した経験から、平易に、かつ実践的に解説している。

事業者として電気製品を取り扱おうとする者はもちろん、生活者として電気製品を選ぶ立場でも一読する価値があるといえる。
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手作りラジオ工作入門 西田和明著 講談社ブルーバックス 2007年 800円

ベテランのアマチュア無線家で、現在は科学工作教室の講師を勤める著者が、ラジオの原理から易しく解説し、ゲルマラジオからトランジスタやICを使ったラジオ、そして真空管ラジオまで7種類の製作例を紹介している。製作例は全てシャーシの代わりに穴あきプリント基板を使い、現在でも入手しやすい部品で構成されている。ラジオ工作を懐かしむにも、新たに始める入門書としても最適の1冊。
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定本 トランジスタ回路の設計(正、続) 鈴木雅臣著 CQ出版社 1992年 正:2,243円 続:2,752円

トランジスタの原理を教科書で勉強してもなかなか性能の良い回路を設計できない。本書は現役のエンジニアである著者が簡単なトランジスタ1石の回路から始めてアンプや高周波、制御回路まで、全ての回路を一つ一つ実際に作り、動作させながら回路の原理、動作、設計の勘所を丁寧に解説している。「プロの回路設計」の一端に触れることができる良書である。現在はICで電子回路を実現することが多いが、巨大なLSIも結局は一つ一つのトランジスタからできている。回路設計にかかわるエンジニアにはトランジスタ回路の技術は必須である。本書はアマチュアから設計者を目指す若いエンジニアまで、幅広い読者にお勧めできる。
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真空管1球入魂 龍田壱球著 マイクロマガジン社 2005.11 1,600円

真空管1本でスーパーはできるか。テレビ用の高複合管に出会った著者は低消費電力のスーパーに挑戦していく。日本ではあまりなじみのない双三極五極管の6AS11からはじまり、最後は双三極管の6MHH3や3A5のスーパーまで作ってしまうのだが、本書には、球の選定から回路設計、完成までが詳しく語られている。 当然のことながら並の回路構成で1球スーパーは実現しない。レフレックスを駆使し、パワー管が局発やIF増幅を兼ねるというような奇想天外な回路が続出する。なんとも人を食ったペンネームの著者の正体は不明だが、エレクトロニクスのエンジニアらしく、実用性?や安全性までも考慮しつつ理論的にきちんと取り組み、測定と実験を繰り返しながら設定したスペックを実現するよう「開発」している姿勢には好感が持てる。また、そうでなければこのような回路は実現しないだろう。製作記事としてはかなり特殊だが、ラジオの回路動作を再認識する上でも良書である。
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電子工作バイブル 真空管ラジオ&実用キットの製作  乱 狂太郎著 2002年12月 マガジンランド 1,200円

真空管ラジオを中心に製作記事をまとめた1冊である。部品の入手性などに問題も感じるが、数少ない現代の真空管ラジオ製作の本として読んでいて楽しい本である。

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ラジオ&ワイヤレス回路の設計・製作  鈴木憲次著 CQ出版社 1999年 1,900円+税

「トランジスタ技術」誌に連載された記事を編集、加筆したもの。ゲルマ・ラジオから無線モデムまで、具体的な制作記事を通して高周波技術が理解できるようになっている。工業高校の教師を勤める著者の製作記事は原理、設計の説明が詳しく、また、現在容易に入手できる半導体を使って再生式や超再生式の受信機を作っている点など、ベテランにとっても興味深く読める。
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101 SHORTWAVE HOOKUPS reprinted by Lindsay Publications Inc. 英語

RADIO &TELEVISION MAGAZINEの1940年の付録?を復刻したもので単球からトランシーバーまでの短波送受信機の製作記事を網羅している。記事は回路図だけでなくコイルデータ、ものによって実体図やセットの写真なども掲載されていて非常に分かりやすい。戦前の短波受信機に興味のある方には最適。

出版社の住所は
PO Box 12,Breadley IL 60915・1990

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放送、ラジオ関係者のエッセイ、伝記


秘伝 オールナイトニッポン -奇跡のオンエアはなぜ生まれたか- 亀淵昭信著 小学館 2023年 900円+税

1967年に始まったオールナイトニッポンのごく初期にかかわり、ニッポン放送の社長まで務めた著者が、オールナイトニッポンの歴史を振り返り、上司としてかかわったディレクター4名との対談を通じて、番組の長寿の秘密を探り、また、ここからラジオの未来についてのヒントを引き出している。オールナイトニッポンのファンだけでなく、ラジオに関心のある方、ラジオ業界で活躍したいと考えているすべての方にお勧めしたい。

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あの日を刻むマイク -ラジオとともに歩んだ九十年- 武井照子著 集英社 2020年 1,700円+税

1925年、日本でラジオ放送が始まった年に生まれた著者は1944年、専門学校の繰り上げ卒業と同時に放送協会の女子放送員(アナウンサー)になった。技術関係などには勤労動員された女学生も就いたが、アナウンサーについては正規の試験を受けた職員であった。戦後も占領下で婦人向けや子供向けの番組を担当し、1953年にディレクターに転身し、1984年に定年退職するまで幼児向け番組を中心に番組制作にかかわった。本書は著者自身による生まれてからの人生を振り返るエッセイである。ラジオのはじまりとともに生まれ、小学校に上がる頃からラジオに親しんだことが、副題の元になっている。本書は戦時下から占領下という激動の時代に放送にかかわった貴重な記録であるだけでなく、働く女性の記録でもある。また、番組制作を通じて多くのすぐれた文学者や芸術家と出会ったことが成長につながったことを、控えめに語っている。なお、著者は95歳になった現在(2020年)も、朗読グループで読み聞かせを行っている。
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FM雑誌と僕らの80年代 「FMステーション」青春記  恩藏 茂著 河出書房新社 2009年 1,700円+税

FMからの録音(エアチェック)が盛んに行われた1980年代に創刊し、199年代まで継続したFM雑誌「FMステーション」の創刊から終わりまでの顛末を、もっともよく知る著者がつづった秀逸なエッセイ。当時の音楽、オーディオ、放送、出版業界の生き生きとした姿が描き出されている。1990年代の、J-WAVE、FM横浜に代表される新たなFM多局化という、ある意味FMの「発展」ともいえる現象が、番組表を主体とするFM雑誌の終焉につながったという事実は興味深い。1980年代にFMラジオを熱心に聞いた今40-50代の読者には共感するところが多いだろう。類書として、リスナー側からの視点のエッセイ「オーディオ小僧の食い残し」も併せて読むことをお勧めする。
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秋葉原、内田ラジオでございます 内田久子著 廣済堂出版 2012年 1,300円+税

秋葉原、ラジオセンターで、アンティークラジオや部品を扱う「内田ラジオ」店主が初めて世に出したエッセイ。内田ラジオは、現在ではいかにも秋葉原らしい世界が残る店の一つである。著者は86歳になる今も夫である元NHKの優秀なエンジニアであった故内田秀男が始めた店を守っている。秋葉原の戦後史、晩年はオカルトの研究でも有名だった内田秀男のこと、また、箱根の一流旅館の娘として生まれた娘として生まれた著者の前半生も大変興味深い。聞き書き風の書体は親しみやすく、読みやすい。(2013.1.8記)
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志村正順のラジオ・デイズ 尾嶋義之著 新潮文庫 2001年 476円 (単行本もあり)

戦前から活躍した名スポーツアナウンサーである志村正順の生き方を中心に、昭和史とアナウンサーの人生模様をいきいきと描いている。
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私のNHK物語 アナウンサー38年 山川静夫著 文芸春秋 1,700円

人気アナウンサーであった著者の自叙伝。おもしろく読ませるが、退職後の出版という事もあって在職中の人事をめぐる確執や鋭いNHK批判も含まれ、興味深い。
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放送一般


雑草ラジオ 瀬戸義章著 英治出版 2023年 1,800円+税

1990年代、阪神大震災をきっかけとして始まった日本の災害放送局、火山国で噴火災害の多いインドネシアで始まったコミュニティラジオ。フリーライターである著者は、東日本大震災をきっかけに、スマホと小型の送信機を組み合わせて簡単に持ち運べて停電でも使える非常用放送局のアイデアを思いつく。ラジオ放送には全くの素人の著者が、日本とインドネシアの先駆者と出会い、「バックパックラジオ」を実現するまでが描かれる。
できることから小さく始めて、人の輪を広げて大きな動きにつながるところに好感が持てる。スマホやインターネットが普及したからこそ、ラジオ放送がネットとも連携しながら簡単にできるようになるという、現代ならではの事実が紹介されているのも興味深い。
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ラジオのお仕事 室井昌也著 勉誠出版 2015年 1,800円+税

タイトルの通り、ラジオにかかわる「仕事」を掘り下げた1冊である。ラジオ局で働く様々な職種の人々に取材し、仕事をルポするだけでなく、仕事への取り組み方などを聞くインタビューを組み合わせた構成としている。有名なパーソナリティーやアナウンサーなどの華やかな職種だけでなく、営業や広報の職員にまで幅広く取材し、ラジオの現場で働く人々を生き生きと描いている。ラジオ局への就職や、ラジオ制作にかかわりたい人だけでなく、すべてのラジオ好きにお勧めできる。
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ラジオの教科書 花輪如一(はなわ なおと) データハウス 2008年 2,000円+税

放送作家として長く民放ラジオを中心に活躍している著者が、ラジオの原理から現状までを、自身の経験を生かして歴史を中心にまとめ上げた労作。制作者の視点で語られるラジオの歴史は、渦中にいたものしか語れない生々しさや新鮮な見方に満ちており、興味深い。データも豊富で350ページあまりの分厚い本だが、構成は的確で読みやすく、軽妙な語り口には著者のラジオへの愛情があふれている。専門用語や難しい表現は避けられており、ラジオ、特に中波放送に興味を持つ人すべてにお勧めしたい。残念ながら細かい間違いや誤植が散見される。本書でラジオに関心を持ったら巻末に多数紹介されている参考文献を続けて読むことを推奨する。ただし、書名から、放送局への就職指南本を期待されると裏切られるが、ラジオ局で働くこと、ラジオの意味を理解するには良い本である。ラジオ局への就職やラジオの仕事を目指す若い人にもお勧めする。
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テレビを旅する 瀬戸山 玄著 小学館文庫 1998年 495円(Kindle版)

放送を作る側、送る側から書かれた本は多い。また、番組そのものに関する本も多い。本書は、放送を「受ける」側をルポルタージュした異色の作品である。元はテレビ雑誌、「テレパル」に連載されたもので、日本全国の様々な場所、多様な境遇の人々が「テレビを見る」現場を、雰囲気ある写真とともにレポートしている。本書を読むと、視聴率などではわからない「視聴者」の姿(全盲の「視聴者」もいるのである!)に驚かされる。本書の取材が行われた1996年頃は、ちょうどBSが普及し始めた頃で、やっと小さな液晶テレビが発売されたが、大型ブラウン管テレビの時代だった(ワイドテレビのはしりでもある)。携帯電話やパソコン、インターネットはやっと普及し始めた頃である。10年が経過して読んでみると、これがもう「歴史」になってしまっていることにも、世の中の変化の速さを感じさせる。
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テレビ国際報道 渡辺光一著 岩波新書 1992年 580円(発行当時)

フィルム取材と国際電話が頼りだった国際報道の世界にビデオと衛星回線が導入され、機動力が増した1990年代初めにイラク戦争、ソ連の崩壊が起きた。本書はその国際報道の現場にいた著者が、その厳しく生々しい実態と、新しい技術の効果をまとめたもの。新刊で読んだものを久しぶりに再読したが、30年前、すでにパソコン通信が使われ始め、アメリカではCATVが普及し、CNNがその存在感を増していた。著者は欧米の放送局との競争を通じてその脅威を感じていた。巻末には21世紀のテレビへの警句が記されている。インターネットにスマホという、その後の情報環境の激変を経て21世紀に入って振り返ると、残念ながら日本の放送界は「失われた30年」を過ごしたというしかない。30年前の国際報道の歴史書としても貴重な本書は、再読の価値がある。(2023.5.14記)

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オーディオ


レコードはまっすぐに -あるプロデューサーの回想- ジョン・カルーショー著 山崎浩太郎訳 学研 2005年 3,600円+税 

戦後、英デッカに在籍し、数多くのクラシックの名盤を制作したプロデューサーの自伝である。名盤の陰に多くの失敗作があり、社内での確執との戦いがあったことが著者の率直な筆で語られる。また、巨匠と呼ばれる音楽家のさまざまな人間的な面が伺えて興味深い。著者が音楽業界にかかわった終戦直後から1960年代にかけては、SPからLP、モノラルからステレオと、オーディオの技術の面でも激しく変化する時代であった。著者は新しい技術に積極的に取り組み、現代まで残る名盤を残した。本書は、著者の死後に発見された原稿を基にして出版されているため、著者の「独断と偏見」で語られているが、明らかな誤認や異論については、丁寧な注でフォローされている。クラシック音楽ファンはもちろん、録音業界やオーディオの歴史に関心のある多くの方にお勧めできる。本書の欠点を挙げれば、高価なことと、原題 "Putting the Record Straight" を直訳した結果、意味不明になってしまった書名ではないだろうか。
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オーディオ小僧の食いのこし 牧野良幸著 AUDIO BASIC MOOK21 共同通信社 2009年 1,600円+税

休刊したFM専門誌FMfanから初心者向けオーディオ専門誌、「AUDIO BASIC」に引き継がれた連載をベースに単行本としたもの。1958年生まれのイラストレータである著者が、1970年代から現在までの、自身のオーディオ、ビデオ遍歴を秀逸な絵とともに描く。エアチェックやラジカセの思い出など、描かれる「庶民派オーディオ」は、40-50代の男性には、共感できるのではないだろうか。本書を通じでオーディオの楽しさを思い出し、再び取り組んで見るのも良い。この時代の送り手側のエッセイとして「FM雑誌と僕らの80年代」も併せて読むことをお勧めする。
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音のエンタテインメント 佐藤和明編著 新評論 2005年 2,500円

プロ・オーディオの専門誌、「プロサウンド」の連載をベースに本書は編纂された。本書には戦後の音響業界を代表する10人のインタビューがまとめらている。多くはレコーディングエンジニア、ミキサー、効果マンだが、メーカーの経営者としてオーディオテクニカの松下秀雄、トリオ/アキュフェーズの春日二郎、ローランドの梯(かけはし)郁太郎が含まれる。テレビの草創期、ステレオの初期など、新しい時代を模索しながら「音作り」に挑んだ職人たちの証言は心を打つものである。
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長岡鉄男の日本オーディオ史 1950-82 音楽の友社 1994年 各2,000円
長岡鉄男の日本オーディオ史 ②     出版社、価格は上と同じ

毒舌と軽妙な筆致で有名だったオーディオ評論家、故・長岡鉄男氏が1950年代からCDが登場したあたりまでの日本のオーディオ製品を彼らしい歯に衣着せぬ調子で紹介している。「1950-82」はおもにアンプやスピーカなどの主要なコンポ中心、②はアクセサリーやCDなどを中心に比較的新しい時代の製品を取り上げている。キャリアの長いオーディオマニアには懐かしい製品がたくさん紹介されている。
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コンピュータ、半導体


新装版 計算機屋かく戦えり 遠藤 諭著 2006年 アスキー 2,310円

コンピューターの本でありながら表紙が6L6-Gの大きな写真。それもそのはず、本書は日本発のコンピューター、FUJICの開発から世界初のマイクロプロセッサ4004の開発まで、1950年代から70年代までの日本のコンピューターの歴史を460ページの大部にまとめた力作である。存命の関係者へのインタビューを中心にまとめられた歴史には興味が尽きない。本書は1996年に出版された初版に特別章を追加したもの。
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エニアック 世界最初のコンピュータ開発秘話 スコット・マッカートニー著/日暮雅通訳 パーソナルメディア 2001年 1,900円

世界初(ドイツやイギリスが初との説もあるが…)のコンピュータとして有名なエニアックの開発の中心となったエッカート、モークリ両氏を中心に追っている。両氏は後にユニバックを興すことになるが、その生涯は決して名声に恵まれたものではなかった。有名なフォン・ノイマンは本当に「コンピュータの父」なのか?。多くの証言や記録からコンピュータ開発の裏側のドラマを描いていて興味深い。
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日本の半導体40年 ハイテク技術開発の体験から  菊池 誠著 1992刊 中公新書 680円

本書は電気試験所からソニー中央研究所長に転じ、一貫して半導体開発に携わった 著者の自叙伝であり、終戦直後から始まる半導体の歴史書であり、かつ、半導体技術 の平易な解説書でもある。内容としてはNHKで放送された「電子立国日本の 自叙伝」を1冊に凝縮したと言えば分かりやすい。併せてソニー創業者の盛田 昭夫氏による「MADE IN JAPAN」もおすすめ。
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家電


懐かしくて新しい 昭和レトロ家電 増田健一著 山川出版社  2013年 1,600円+税 

昭和30年代家電のコレクターである著者が、自身のコレクションを通して高度成長期の家電の世界をユーモアあふれる筆致で楽しく紹介している。「三種の神器」を中心に、特にユニークなアイデア商品やデザインに特徴ある製品を多く取り上げている。「大阪くらしの今昔館」の特別研究員を務める著者の、家電に対する愛情あふれる本である。
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続・懐かしくて新しい 昭和レトロ家電  増田健一著 山川出版社 2014年 1,600円+税

昭和30年代家電のコレクターである著者の第2弾。前作が家電の実物を紹介したものだったのに対して、本書は、カタログ、雑誌や新聞などの広告などの販促物を紹介している。今では公正取引規約などで到底許されないような大胆な表現に驚かされるが、これも時代の息吹ととらえれば微笑ましい。単なる資料の紹介だけでなく、当時のメーカ関係者やCM出演者へのインタビューも掲載され、厚みのある内容に仕上がっている。個々の資料に年代が明記されているので家電製品、テレビ、ラジオの資料としても貴重であるだけでなく、前作同様著者のユーモアのある軽妙な筆により、楽しく読ませる。
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70年代アナログ家電カタログ 松崎順一著 青幻社 2013年 2,800円+税

ラジカセコレクターで知られる著者が、1970年代を中心に1960年代末から1980年代前半にかけての家電製品のカタログを紹介している。オーディオとテレビのカタログが中心で、この時代の製品を理解するには最適である。判型が小さいため、カタログはかなり小さくなってしまっているのが残念だが、印刷は精密で、細かい文字も虫眼鏡を使えば十分判読できる。
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日本の家電製品 -昭和を彩った家電製品- 佐竹 博著 産業図書(株) 2009年 1,500円+税

明治時代の電燈から高度成長期を経て現代までの日本の家電(ラジオ、テレビなども含む)の歴史を多くの図版とともにわかりやすくまとめたもの。平易にまとめられた本書は、日本の家電の歴史の概略を理解するのに有効である。
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昭和史


昭和史 1926-45 半藤一利著 平凡社ライブラリー671 2004年(単行本初版) 972円+税(ソフトカバー版)

昭和史研究の第一人者である著者が、戦前を知らない若い人に語るという、学校の授業のような雰囲気でまとめられた昭和戦前期の通史。非常にわかりやすく、ニュートラルな視点でまとめられた本書は、すべての人にお勧めしたい。
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戦前昭和の社会 1926-1945 井上寿一著 講談社現代新書 2011年 740円

昭和初期とはどのような時代であったか。日本政治外交史の研究者である著者が、多くの史料からこの時代の世相を明らかにしていく。そこには、現代人が抱いているこの時代のステレオタイプのイメージとは違う実態があった。都市部の豊かな消費文明、不況と格差の拡大、うまくいかない2大政党制など、戦争に向かうこの時代の世相に、現代との類似性を発見してしまう。また、戦争へと向かう世論形成に、新聞という成熟したメディアと、ラジオという新しいメディアが果たした役割も明らかにされる。この時代を知ることは私たちの未来を占うことでもある。
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占領下日本 半藤一利、竹内修司、保阪正康、松本健一著 筑摩書房 2009年 2,300円 

1945年8月15日から、マッカーサーが日本を離れるまでの約7年にわたる占領時代。戦前とは大きな変化がもたらされ、現代の日本にも大きな影響を与えている時代である。本書はこの時代について、現代史の論客4人が対談形式で掘り下げたものである。構成は、各章の冒頭に著者の持ち回りで「報告」がまとめられ、これをベースに対談が行われる形式になっている。このため、この時代の知識に乏しい読者にも理解しやすい。風俗から国際問題まで硬軟取り混ぜて幅広い話題が選ばれ、450ページのボリュームにもかかわらず、読者を飽きさせない。立場によって評価が大きく異なる占領期の各事象について、比較的客観的な見解を知ることができる。
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戦下のレシピ 太平洋戦争下の食を知る 斉藤美奈子著 岩波アクティブ新書37 2002年 760円

戦時中は食べるものがなくて大変だったといわれる。終戦記念日には「すいとん」を食べて当時をしのぶ行事が各地で開かれる。実際はどうであったのか。戦後生まれの著者は当時の婦人雑誌を調べ、献立を再現することで戦時下の過酷な食糧事情をリアルに描いている。
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ソ連が満州に侵攻した夏 半藤一利著 文春文庫 2002年 570円 (単行本は1999年文芸春秋刊 1,524円+税) 

1945年8月9日、ソ連軍は中立条約を無視して満州国に軍を進めた。本書は終戦時の満州における悲劇について、連合国側、特にソ連の思惑、日本政府、関東軍、陸軍の対応が、詳細に記述されている。日本国内の終戦を取り上げた文献は多い。国内では玉音放送を境に平和が訪れていたかもしれないが、ソ連が侵攻した満州には終戦の情報は容易には届かず、多くの悲劇を呼んだ。著者は冷静な筆致で日本の指導層の国際法の無知、責任感の欠如、そしてソ連の非道な行為を指弾している。
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歴史一般


 逆・タイムマシン経営論 ‐近過去の歴史に学ぶ経営知- 楠木健 杉浦泰著 日経BP社 2020年 2,200円+税

マスコミに流布するビジネスや製品のトレンドやバズワードが、後になってみると的外れであったことは多い。2019-20年でいうと、"AI"や"DX"といった言葉が流行している。DXが将来どうなるかを予想することは困難だが、過去のバズワードの結末は、歴史の中に残っている。本書は、おもに1970年代以降のビジネス誌(主に『日経ビジネス』) から題材を取り上げ、「飛び道具トラップ」「激動期トラップ」「遠近歪曲トラップ」の3つの罠に分類して、我々の錯覚の実態を分析している。昔から言われる「歴史に学ぶ」ことであるが、戦国武将やローマ時代の偉人に学ぶのではなく、多少キャリアがある人なら同時代を過ごしたであろう、せいぜい30―40年以内の「近過去」の歴史、それもネットで容易に検索できるビジネス誌や経済誌の記事から学ぶ姿勢が新鮮である。著者がいう「トラップ」にはまって我々は同じような失敗を繰り返している。本書を手掛かりに最近の歴史を見直してみるのも楽しいだろう。本書に多くの「トラップ」の材料を提供しているのが出版元である「日経BP社」の『日経ビジネス』であることは皮肉ではあるが姿勢としては評価できる。
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 史実を歩く 吉村 昭著 文春新書/分春文庫 1998/2008年 680/560円(税込)

本書は近・現代を舞台にした歴史小説で知られる作家の著者が、自作のために史実を調査した取材の過程をエッセイにまとめたもの。フィクションでありながら、逆にフィクションであるだけに嘘にならないようにディテールにこだわって「史実」を追及する姿勢に好感が持てる。歴史の研究を目指す者には参考になる点が多いだろう。新書版、文庫版両方あり。
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 広告図像の伝説 荒俣宏著 平凡社 1989年 1、480円

カルピス、森永、福助等の有名な商標を博物学者である著者独得の切口で解説したもの。この中に「電子マーク」なる1章でマツダマークが取り上げられており、マツダ(MAZDA)の由来と東京電気が昭和10年に一般から公募した真空管のポスターが紹介されている。
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タイタニックは沈められた  ロビン・ガーディナー&ダン・ヴァンダー・ヴァット著 内野 儀訳 1996年 集英社刊 2,000円

映画「タイタニック」のヒットによって多くのタイタニックに関する本やビデオなどが発売された。本書はその一つだが、当時の船主であるホワイト・スター海運の歴史にまでさかのぼり、この事故が破損した姉妹船とすりかえ、保険金を得るために仕組まれたという新説を展開している。タイタニック遭難のときはじめてSOSが使用されたことは有名だが、本書でもこの事だけでなく、事件報道に関するマルコーニやデビッド・サーノフの関わりについて述べられていて興味深い。著者はその後も調査を続け、2010年に新作を発表している。
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災害と報道


その時、ラジオだけが聴こえていた IBC岩手放送監修 竹書房 2012年 1,300円+税 

東日本大震災に見舞われた岩手の民放ラジオ局の奮闘をリアルに記録したもの。直接放送に関係ない部署を含めて一丸となって戦った記録でもある。当時の放送のCDが付属していて当時の様子がよくわかる。
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ラジオ福島の300日 片瀬京子とラジオ福島著 毎日新聞社 2012年 1,500円+税 

東日本大震災後の福島の民放ラジオ局のドキュメント。地震、津波だけでなく、未経験の原発事故にも見舞われた福島のラジオ局では、職員の安全を巡って厳しい判断が求められたことがわかる。当時、民放各局ではCMを外して緊急時編成で報道特別番組のみを放送していたが、これが長期化するにしたがって、収益が苦しくなってくるという経営の問題にも触れている点が興味深い。本書では、炊き出しなどを通じて災害報道を支援した間接部署の活躍はもちろん、経営を支えるための営業部の活躍も丁寧に描いている。
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河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙 河北新報社著 文芸春秋 2012年 1,333円+税 

宮城県の地方紙、河北新報社の震災後の取材、新聞発行の苦闘をつづったドキュメント。製版し、紙に刷って読者のもとに届けないと報道の役目を果たさない新聞は、大規模な災害でインフラが失われた時には、大きな困難にみまわれた。しかし、協定を結ぶ他社の力も借りて取材、発行に努力する新聞人の報道にかける真摯な姿勢が読み取れる。また、放送に比べて機動性や速報性に欠ける新聞だが、印刷してしまえば光さえあればいつでも、何度でも読むことができる、壁に張り出しておけば多くの人が好きなときに読めるという、紙ならではの新聞のメリットと情報量の多さは、災害時にインフラの途絶で役に立たなかったテレビや電話と比べて古いメディアの災害時のメリットを明らかにした。
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6枚の壁新聞 -石巻日日新聞・東日本大震災後7日間の記録- 石巻日日新聞社編- 角川SSC新書 2011年 933円+税

宮城県石巻市の地方紙、石巻日日新聞は、東日本大震災の津波で新聞を印刷、発行することができなくなった。ここで同社が行ったのは、前代未聞の手書きで壁新聞を作って貼りだすというものだった。こうして石巻日日新聞は途絶えることなく「発行」され続けた。まさにペンさえあれば伝えられるという新聞人の心意気が感じられる。本書は同社の震災後の動きを詳細につづったものである。のちに高い評価を得た手書きの壁新聞だが、本書のあとがきで同社社長は、被害にあった東北の地方紙各社が提携先の他社の設備を使ったり自家発電機とコピー機で印刷したりして新聞を出し続けたのに対し、災害への備えの甘さを正直に反省している。地元に密着したメディアとしての真摯な姿勢がうかがえて好感が持てる。
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博物館


ミュージアムと生きていく 大澤夏美著 文学通信 2024年 1,800円+税

「ミュージアムグッズ愛好家」として独自の視点でミュージアムにかかわる著者が、全国のミュージアムでユニークな活動を行っている人々を高校生と一緒に取材し、ミュージアムとかかわる仕事のことを考える。学芸員として博物館の職員になる以外にも、様々な形での博物館とのかかわりを持てる仕事があることがわかる。ミュージアムで働きたい、かかわる活動をしたい人々に良い指針となるだろう。

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世にも奇妙な博物館 丹治俊樹著 みらいパブリッシング 2021年 1,600円+税

全国の750を超える博物館に行った著者が、「ちょっとフツーじゃない」博物館55館を選んでカラーで紹介した旅行記でもあり、ガイドブックです。当館も「フツーじゃない」博物館の仲間に入れていただいて紹介いただきました。紹介されている館の規模や運営主体は様々だが、テーマをピンポイントに絞った特徴のある施設ばかりで楽しいです。コロナが落ち着かないと旅行には行きにくいが、本書を持って各館を訪問したいと思わせる魅力ある本である。
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