日本ラジオ博物館

Japan Radio Museum

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コンソール型ラジオ
Console Radios
1927-42


CONTENTS

アメリカにおけるコンソールラジオの歴史
The history of Console Radio in U.S.A.


日本のコンソールラジオ
Japanese Console Radio

コンソールラジオ展示室
Console Radio Museum

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アメリカにおけるコンソールラジオの歴史 / The history of Console Radio in U.S.A.

1920年代、欧米では卓上型(Table Type)のラジオは、多くが壁際に置かれた小型のテーブルに置かれていた。このような小型のテーブルは以前から "Console Table" と呼ばれていた。現代でもこのようなテーブルはホテルのロビーなどに良く見られる。電池式セットではテーブルの下にバッテリーや充電機が置かれることから、これらを隠せるようにした専用のテーブルが作られるようになった。また、ラジオ本体とデザインをコーディネートした専用の台が発売された。コンソールラジオの初期の形態としてテーブルとラジオのキャビネットを一体化したようなものが作られた(下図左)。

1920年代後半になってコーンスピーカをテーブルに内蔵する物が現れ、"Console Speaker Table"などと呼ばれた(Philco社の例)。この頃からシャーシが交流化して大型になり、音質を改善するために大型のダイナミックスピーカとともに頑丈なケースに収められるようになり、テーブルの上に装飾的な大形の箱を付けたデザインの高級ラジオが多く作られるようになった(下図右)。

このような背の高い箱が付いたデザインは当初、脚付きたんすの名称である"High-boy"と呼ばれた。箱の背が低いものは同じく背の低い脚付きたんすの呼び方から"Low-boy"と呼ばれた。1926年頃には、このような脚が付いた大型のラジオキャビネットのことを一般に”Console Type" と呼ぶようになり、転じて床置き型のラジオやテレビの大型キャビネット一般を指す言葉になった。

    
Left: (Zenith Model 17E, 1928) Right: (Freed-Eisemann NR-95, 1929)
(左)スピーカを持たない初期のコンソールの例 (右)テーブルのデザインを残す初期の大型コンソールラジオ

これらは重厚な大型キャビネットに大口径のダイナミックスピーカを備えた音質を追求した高級ラジオだった。コンソールラジオは、特にアメリカで大量に作られ、普及した。これは多くの民間放送局が乱立し、豊富なプログラムが供給されるというアメリカの特異な放送事情が大きく影響した。日本やヨーロッパのように国営または公共放送中心の多くの国では、放送のバリエーションが少なく、高級ラジオの多くがレコードプレーヤを備えた電蓄であった。アメリカでは放送が娯楽の中心となり、レコードの需要が減ったために、プレーヤを持たないコンソールラジオが主流となった。デザインは電蓄と共通するものだが、プレーヤの搭載を前提としていないために奥行きが短いのが特徴である。

アメリカのコンソールラジオは1930年代に入ると大量に供給されるようになるが、不況によりラジオの主流は小型のテーブル型ラジオに移行していく。それでも戦時統制によりラジオ生産が制限される1942年まで生産が続けられた。1930年代後半には細い脚が付いたデザインから床に直接置く箱型に変わっていった。このような形態をFloor Type と呼ぶこともある。戦後はLP/EPレコードの普及により電蓄付の製品が主流となった。

なお、最終的にはコンソールラジオとコンソール型ラジオ付電蓄(Radio-Phonograph)とは、ほとんど同じデザインになるが、電蓄は本来、大型蓄音器にラジオを搭載するところから始まっていることから、コンソールラジオとはデザインの成り立ちが異なる。

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日本のコンソールラジオ
Japanese Console Radio

日本では、スピーカ内蔵型交流式受信機が作られ始めた1930年頃に小型のコンソール型ラジオが作られたが、1930年代以降、本格的なコンソールラジオはごく少数の例外を除き、ほとんど作られなかった。コンソール型の大型高級ラジオは数多く作られたが、そのほとんどが電蓄併用ラジオであった。戦後、少数のコンソールラジオが生産されたが、いずれもプレーヤを上に置くことができるようになっていて、電蓄の高額な物品税を逃れるための製品だった。

In Japan, a few small console radios were manufactured early in the 1930’s.
However, after mid 1930's, almost of Japanese console radio equipped phonograph.

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コンソールラジオ展示室 / Console Radio Museum


アメリカ製セット/ Made in U.S.A.

Sparton Model 930 482-B p-p 9 tubes TRF, The Sparks-Withington Co. (U.S.A.) 1927-29 $189.50

Crosley Model 124 47p-p 9 tubes Superheterodyne, Crosley Radio Corporation  (U.S.A.) 1932

RCA Victor Model 9K1 6F6s  9 tubes 3 band Superheterodyne with magic-eye, RCA Manufactruing Co., (U.S.A.) 1937

日本製セット/ Japanese Set

セミコンソール型5球再生式受信機 / Semi-console type 5 tubes regenerative set, 5 tubes 私製 Home brew 1932

4球小型コンソールラジオ / 4 tubes small console set 高一付4球再生式 4 tubes TRF メーカ不明 mfr: unknown  1933?

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アメリカ製セット/ Made in U.S.A.


Sparton Model 930 高周波5段482-B p-p 9球コンソール The Sparks-Withington Co. (U.S.A.) 1927-29 $189.50

  

  

TUBES: 485-485-485-485-485- 482-B - 482-B - 80 (Cardon), 8" Electro-dynamic Speaker

アメリカの高級機メーカ、スパートンの大型コンソールラジオ。Cardon社が独自に生産していた三極管485で高周波5段の回路を構成し、同じく出力管482Bのプッシュプルでマグナボックスの8インチフィールド型ダイナミックを駆動する。スパートンでは、同社特許の回路を”EQUASONNE Circuit" と称し、高音質を誇っていた。1920年代後半のごく初期のコンソールラジオである。

(Collection No.11816)

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Crosley Model 124 47p-p 9 tubes Superheterodyne Crosley Radio Corporation  (U.S.A.) 1932

  
 
   

TUBES: 35/51 - 24 - 27 - 35/51 - 35/51 - 27 - 47 - 47 - 80, 12"Electro-dynamic Speaker

アメリカ、クロスレー社のコンソールラジオ。当時新型のペントード出力管47のプッシュプルでマグナボックスの12インチ・フィールド型ダイナミックを駆動する。ラジオ部は27,35,24を使用したIF:175kcのスーパーである。47p-pは、日本では高級電蓄にしか使われなかった回路だが、同社は同じシャーシを使ったテーブル型ラジオも生産していた。

(Collection No.11802)

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RCA Victor Model 9K1 6F6s 9 tubes 3 band Superheterodyne with magic-eye, RCA Manufactruing Co., (U.S.A.) 1937

  

TUBES: 6L7 - 6J7 - 6K7 - 6K7 - 6H6 - 6F5 - 6F6 - 5Z4 - 6G5, Electro-dynamic Speaker, BC, SW1: 1.8-6.5Mc, SW2: 6.5-23Mc

メタルチューブを使用したフロア型ラジオ。中波と1.8-6.5Mc、6,5-23Mcの短波帯を供える本格的なオールウェーブである。ダイヤルのデザインや内部構造は、ライセンスを与えていた日本ビクターのRE-48型などの日本製品に大きな影響を与えている。

(Collection No.11817)

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日本製セット/ Japanese Set


セミコンソール型5球再生式受信機 (1932年 私製)
Semi-console type 5 tubes regenerative set, Home brew, 1932

  

  
  裏蓋に貼られた手書きの回路図(左)と、パワートランスに貼られた電灯会社の試験票

TUBES: 226-227-226-226-112A, Magnetic Speaker

スピーカをひとつのキャビネットに収めた、小型のコンソール型ラジオ。ワルツのマグネチック・スピーカを駆動する高周波1段再生検波5球受信機である。電源部をキャビネット上段に配置する特異なレイアウトとなっている。レオスタットやニュートロドンが使われているところなど、まだ電池セット時代の名残が見られる。

昭和四年度規定による放送協会認定品の坂本製作所製T-227型電源トランス、チバのバリコン、トクヒサの低周波トランス、ドイツ製のコンデンサなど、一流の部品が使われている。真空管はすべてST管に交換されている。私製であるが、良い部品を使って丁寧に作られたセットである。

(Collection No.11746)

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4球小型コンソールラジオ 高一付4球再生式 4 tubes メーカ不明  1933年頃
4 tubes small console set TRF, mfr: unknown  1933?

   

TUBES: UY-224 - UY-224 - UY-247B - KX-112B マグネチック・スピーカ

日本製の小型コンソールラジオ。木台シャーシを使った高一付4球のセットである。電蓄のキャビネットのように、トップに蓋がついているがこの中はプレーヤではなく、蝶番の付いた蓋が付けられ、点検口を兼ねた付属品入れとなっている。キャビネットは専門業者によるものではない粗末なつくりのものだが、スピーカやトランスなど主要部品は七欧無線電気商会の製品が使われている。脚には鉄製のキャスターが取り付けられ、移動できるようになっている。公共施設か、学校などで使われたものではないかと思われる。

(Collection No.11803)

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