日本ラジオ博物館

Japan Radio Museum

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日本製エリミネーター受信機展示室


目次

解説編

ラジオの交流化
(別ファイル)

展示室

日本製受信機、スピーカ

外国製受信機、スピーカ
(別ファイル)

参考文献

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  日本製受信機、スピーカ


自作またはメーカ不明


鉱石検波レフレックス3球受信機 1928年頃 メーカ不明

鉱石検波レフレックス3球受信機 1928年頃 メーカ不明

鉱石検波レフレックス3球受信機(金沢市電気局) 1929年頃 メーカ不明

再生式4球受信機 1929年頃 メーカ不明

再生式3球受信機 1929年頃 メーカ不明

高一付5球再生式受信機 1931年頃 メーカ不明

高一付5球再生式受信機 1931年 諏訪ラジオ商組合

鉱石検波レフレックス4球受信機 1931年頃 メーカ不明 (NEW)

セミコンソール型5球再生式受信機 1932年 メーカ不明

Extra 5球再生式受信機 1933年頃 メーカ不明

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電池式受信機改造品

鉱石検波レフレックス3球改造エリミネータ受信機 1925年頃/1928年頃改造 メーカ不明

3球再生式改造鉱石検波レフレックス4球エリミネータ受信機 1925年頃/1928年頃改造 メーカ不明

Gilfillan Model GN-1ニュートロダイン5球改造3球再生式受信機 Gilfillan Bros. Inc. U.S.A. 1924年/1931年改造/1940年代に再改造


メーカ製品


ナショナル/フタバ製品 二葉商会電気工作所

National鉱石検波レフレックス4球受信機 1928年頃 National Radio Works /二葉商会

フタバ 高周波1段5球受信機 1931年 二葉商会電気工作所


National Super Horn ホーンスピーカ 1928年頃 National Radio Corporation


コンドル(Condor)製品 田辺商店/坂本製作所

コンドル4球受信機 4球再生式 1930-31年 36.00円

コンドル100号 高周波1段5球 1931年

コンドル100号シャーシ 高周波1段5球 1931年

コンドル高声器 マグネチック・スピーカ 1931年


オリオン(ORION)製品 東京電気(株)/坂本製作所

オリオン300号受信機 高周波1段5球 東京電気/坂本製作所 1932年 63.00円


サンダー(Thunder)製品 富久商会

サンダーF.S. 4球再生式 1931年頃 富久商会 


シンガー(SINGER)製品 三共電機工業(株) 

シンガー5球受信機 高一付5球 1930年頃

シンガー4球受信機 4球再生式 1930年頃

シンガー4球受信機シャーシ 4球再生式 1930年頃

シンガー3球受信機 3球再生式 1931年頃

シンガー5球受信機 高一付5球 1931年頃


ダイヤモンド(DIAMOND) / テレビアン(Televian)製品 山中電機製作所

ダイヤモンド B-21型 鉱石検波レフレックス3球 1928年 (加筆訂正)

テレビアンA-227型 再生式4球 1931年 35.00円

テレビアンC-224型 高一付5球 1931年


トクヒサ(Tokuhisa)製品 徳久電機

トクヒサ受信機 再生式4球 1931年


シャープダイン(Sharpdyne)製品 早川金属工業研究所

シャープダイン26型「奉仕号」 鉱石検波3球レフレックス 1931年

シャープダイン30型 高一5球受信機 1931年 45.00円(球別、本体のみ) (加筆訂正)

シャープA型 マグネチック・スピーカ 1931年

シャープE型 マグネチック・スピーカ 1931年

シャープダイン33型 再生式4球受信機  1932年


シルバーライン(SILVER LINE)製品 N.Y. Radio Products

SILVER LINE 鉱石検波レフレックス4球受信機 1931年頃 N.Y. Radio Products / 北澤無線電気商会

SILVERLINE 2590 typeA型 高周波1段5球受信機 1930年頃、N.Y. Radio Products / 松崎ラヂオ商会


スペリー(SPELY)製品 Spely Radio Co.,

SPELY 226型 鉱石検波レフレックス3球受信機 1931年、Spely Radio Co.,


センター(Center) 製品 センター電機製作所

センター マグネチックコーンスピーカ 1930年頃 センター電機製作所

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展示室


National鉱石検波レフレックス4球受信機 1928年頃 National Radio Works /二葉商会

  

 

TUBES: 4- UX-201A

このナショナルは松下のものではない。大正時代からラジオ製造にかかわっていた北尾鹿治氏の二葉商会が先に使用していたナショナルである。北尾氏は松下幸之助氏に「ナショナル」ブランドを譲渡し、1930年に共同でラジオ製造に乗り出すが、考え方の違いから1931年に独立し、その後は「フタバ」ブランドでラジオ生産に乗り出す。このセットは二葉がナショナルを名乗っていた最後の頃の製品である。

二葉のマークである「F.E.C.」の表記はあるが、メーカ名は”National Radio Works"となっている。舶来品風に見せようとして、当時の国産メーカが良く行った手法である。

なお、このセットのオリジナルの姿を特定することは簡単ではない。UX-201Aを使用した4球鉱石レフとなっているが、電源トランスやコンデンサはオリジナルではない。特徴的なケース入りスパイダーコイルとバリコンは「ナショナル」のオリジナルである。ニュートロドンが付いている点を見ると、このセットが本来電池式のニュートロダインであった可能性も考えられる。

本機の真空管は失われていたので、手持ちの201Aを取り付けた。

保存状態は悪く、塗装がほとんどはがれてしまっている。また、パネル周囲の「額縁」状の飾りも失われている。

(所蔵No.11771)

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National Super Horn ホーンスピーカ 1928年頃 National Radio Corporation

  

ナショナルを名乗る国産のホーンスピーカ。ただし、二葉のラジオとは異なり、二葉を示すFECの表示はなく、ロゴや英文の会社名も異なる。出所不明のナショナル製品である。二葉の初期の製品という可能性もある。

(所蔵No.10051)

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鉱石検波レフレックス3球改造エリミネータ受信機 1925年頃/1928年頃改造、日本製、メーカー不明

  

TUBES: 3- UX-201A + 鉱石検波器

下の扉の中にバッテリーを収める電池式受信機を改造して作られた初期の交流式受信機。電池時代の真空管UX-201Aを使い、鉱石検波とレフレックス回路を使って真空管を節約している。バイアス用にはC電池(写真右端)が使われている。

下の所蔵No.11001とほぼ同じ構成だが、最初から交流式として組み立てられた11001に対してこちらは後から電源トランスを付けたため、電源トランスとチョークコイルが左右に泣き分かれ、アンテナコイルのすぐ後ろに電源トランスという無理なレイアウトになってしまっている。昭和初期には、このような電池式受信機のエリミネータへの改造が良く行われた。

鉱石検波器は写真右上のホルダに取り付けられるが、現在は失われている。

(所蔵No.11277)

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3球再生式改造鉱石検波レフレックス4球エリミネータ受信機 1925年頃/1928年頃改造 メーカ不明

 

TUBES: 4- UX-201A + 鉱石検波器, Horn Speaker

3球再生式の電池式ラジオを鉱石レフに改造したもの。昭和無線工業(オリンピック)の電源トランスとコンデンサ、チョークコイルを追加している。キャビネットが小型のため、全体のレイアウトを変更する大工事になっている。中央のバリコンは改造時に追加されたもの。

本機の左側のレオスタットのツマミが失われている。撮影用に普及型のホーン・スピーカを組み合わせた。

(所蔵No.m11116) 愛知県 太田様寄贈

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Gilfillan Model GN-1ニュートロダイン5球改造3球再生式受信機 Gilfillan Bros. Inc. U.S.A. 1924年/1931年改造/1948年頃に再改造







TUBES: 56 6Z-P1 KX-112B (改造後)、Magnetic Speaker (エレホン、紙フレーム)

この受信機のオリジナルは大正時代の放送が始まったころに輸入された米国製5球ニュートロダイン受信機、ギルフィランGN-1である。発売当時380円という高価なもので、富裕層が主なユーザーであった。
改造は複数回行われたと思われる。本体内部に昭和6(1931)年5月の京都市の住所の許可書が残されていた。ラジオの生産時期よりもかなり後の日付なので、オリジナルの持ち主のものではないだろう。旧式になり、最初の持ち主が譲渡したと思われる。1931年頃には、バッテリーを新たに買うことを考えればそれほど変わらない価格で改造用のトランスが発売されていた。ギルフィランの持ち主に新しいラジオを納めたラジオ商が引き取った旧式ラジオを改造して売ったのかもしれない。

許可書の日付の1931年が最初の改造の時期だろう。整流管KX-112Bは、この時に追加されたとみて良い。改造の経緯については想像するしかないが、大阪放送局の出力も大きくなり、翌1932年には京都放送局の開局が決まっていた。オリジナルの5球ニュートロダインほどの大掛かりな高感度ラジオは必要なくなっていた。最初は227検波、元の201Aを2本使った4球式だった可能性が高い。スピーカはオリジナルのホーン・スピーカだったと思われる。ヒューズホルダーに鉱石検波器のホルダーを流用しているが、これでは接触不良に悩まされただろう。外観はパイロットランプが追加された程度でオリジナルのままである。電池ケースとシャーシとの仕切り板は削除されている。許可書の記述から、1935年に移転していることがわかる。その後、修理を兼ねて改造が行われたと思われ、検波管が56に交換されている。

最後の改造は戦後に行われた。キャビネット右側扉内のメータを取り外し、パネルにクロスを貼ってマグネチック・スピーカを組み込んでいる。電源トランスが故障したと思われ、交換されている。この時、出力管を6Z-P1に改造している。オリジナルの部品はバリコン2個と低周波トランスくらいしか残っていない。シャーシの板はオリジナルと思われるが、スピーカを組み込む際に右側が切断されている。

本機は、パネル上部を抑える木材が失われている。

(所蔵No.11A324)

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鉱石検波レフレックス3球受信機(1928年頃、日本製、メーカー不明)

 

TUBES: 3- UX-201A + 鉱石検波器

電池式受信機のイメージを残す初期の交流式受信機。電池時代の真空管UX-201Aを使い、鉱石検波とレフレックス回路を使って真空管を節約している。バイアス用にはC電池が使われている。レフレックス回路は動作が不安定で真空管が安くなるともに使われなくなった。

(所蔵No.11001)

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鉱石検波レフレックス3球受信機 1928年頃 メーカー不明

 

 

TUBES: 201A X3, (12A 12A-12B)

ユニークなドラム式ダイヤルを使用した初期の交流式受信機。交流用真空管が普及する前のもののため、電池用の201-Aを使用して鉱石検波レフレックスの回路を採用している。フィラメントのレオスタットやC電池など、電池式時代の設計が色濃く残っている。レオスタットは電池式のように頻繁に調整する必要はないため、内部に取り付けられ、半固定となっている。鉱石検波器は固定式だが、探り式に近い変わった構造のものが使われている。

本機には、UX/UV兼用の旧型ソケットにST管を無理やり取り付けていた。当館でCX-301A(米カニングハム社製)に交換した。

(所蔵No.m11079) 大阪市、富士屋電気商会/長尾忍様寄贈

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鉱石検波レフレックス3球受信機(金沢市電気局) 1929年頃 メーカー不明

  

 

TUBES: 226 226 KX-112-B

初期の普及型交流式ラジオの典型的なもの。交流用真空管226を使用しているが、真空管を減らすために鉱石レフとしている。整流管は112Bが使用されているが、グリッドとプレートが外部で接続されていて、UX-201Aを2極管接続で使用することもできるようになっている。キャビネットのデザインは、当時普及品によく見られるものである。

本機は、金沢市電気局の検査証と銘板が取り付けられている。金沢市内で使用されたものと思われる。
初段の低周波トランスは交換されている。

(所蔵No.11A185)

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鉱石検波レフレックス4球受信機 1931年頃 メーカ不明



TUBES: 226 226 112A(12A) KX-112A, 鉱石検波器

エリミネータ受信機の初期に使われた鉱石検波レフレックスの4球受信機。幅80cm近い大型のキャビネットにゆったりと組まれている。交流用真空管226を採用しているので、鉱石レフの必然性は低いが、まだ227が高価で入手難だった時代のものかもしれない。高周波チョークの上に鉱石検波器を載せるレイアウトは、当時JOCK管内でよく行われたやり方である。

本機は最近修理されている。中央のダイヤルは明らかな改造だったので、本来の形に近いものに交換した。

(所蔵No.m11216) 愛知県、太田様寄贈

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再生式4球受信機(1929年頃、日本製、メーカー不明)

TUBES: 227-226-112A-112B

3極管再生検波、低周波2段の標準的な受信機。ここではマグネチックスピーカーを組み合わせてあるが、ラッパ型スピーカーが使われることも多かった。この回路は後に「並四」と呼ばれ、安物の代名詞となるがこの時代は決して安いものではない。シャーシは電池式受信機と同じように木の板の上に組まれているが、絶縁電線が使われ、板の下側を通して配線するようになっている。本機はアマチュアかラジオ商の手作り品と思われる。

スピーカーはオリジナルの組み合わせではない。

(所蔵No.11004)

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再生式3球受信機(1929年頃、日本製、メーカー不明)

 

TUBES: 227-112A-112B

再生検波低周波1段の3球式受信機。この時代にシングルコントロールのデザインは珍しい。

(所蔵No.11002)

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高一付5球再生式受信機 (1931年頃、日本製、メーカー不明)

 

 

TUBES: 26B 227 226 112A KX-112B (マツダ、エレバム)

長野県内で使用されていた交流式受信機。長野放送局開局(1931年)時に購入されたものと思われる。トクヒサの電源トランス、原口のコンデンサなど、国産の部品が使われている。ラジオ商が組み立てたものと思われる。このセットは永く松本市に残されていた。当初4球再生式として組み立てられたが、感度が不足するためか26Bによる高周波増幅回路を追加している。

(所蔵No.m11003) 長野県松本市 西郷様寄贈

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高一付5球再生式受信機  1931年 諏訪ラジオ商組合

  

 TUBES: 224 227 226 112A KX-112B (24B 227 26B 12A 12F)

日本独特の2階建てキャビネット下部の、本来バッテリーケースの部分に電源部を組み込んだエリミネータ受信機。使用部品や構造から判断して、電池式セットを改造したものではなく、最初から交流式として組み立てられたと思われる。蓋の裏には諏訪ラジオ商組合の料金表が貼ってある。日付は昭和6年2月となっていて、長野放送局開局直前に行われたキャンペーンで組み立てられたものと思われる。発売されたばかりの四極管224を採用している。

このセットには昭和6年3月19日申請、30日許可の静岡県磐田郡の住所の私設許可書が残っている。そして、本体内部には昭和9年6月の諏訪電気(株)による検査章が貼ってある。想像でしかないが、諏訪でラジオを組み立て、新年度から静岡県に転居し、昭和9年には諏訪に戻ってきたのではないだろうか。その後、真空管や電源スイッチを交換して戦後まで使われたと思われる。

本機は分解された状態で発見されたため、欠落した部品を補って組み立てなおした。また、正面パネル周囲には、バッテリーケースと同様の額縁があったと思われるが失われている。パネルはベニヤ板だが、右下の部分に剥がれが見られる。

(所蔵No.11A108)

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SPELY 226 鉱石検波レフレックス3球受信機  1931年、Spely Radio Products

  

 

TUBES: 鉱石検波器 226 226 112B

このセットは交流用真空管UX-226を使用しながら鉱石検波レフレックス回路、レオスタットで音量を調整するなど、旧式な回路を採用している。しかし、シャーシの構造は金属シャーシを採用した新しいものである。新旧の要素が一台に詰まった過渡期の製品といえる。そもそも不安定な鉱石レフをメーカが採用することじたい珍しい。

鉱石検波器は失われている

(所蔵No.11A057)

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コンドル4球受信機 4球再生式 1930-31年 坂本製作所 36.00円

  

TUBES: 227 226 112A KX-112A , 550-1100kc,

当時のトップメーカであった坂本製作所の4球受信機。アメリカの影響を受けて一時的に流行した金属キャビネットを使用している。このセットは1928(昭和3)年度東京中央放送局エリミネータ―受信機懸賞募集において一等当選となった機種である。この懸賞募集で高い評価を受けたため、放送協会認定も受けた。東京電気のORIONブランドで発売されたものもあった。

(所蔵No.11A070)

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コンドル100号 高周波1段5球受信機 1931年 田辺商店/坂本製作所 

  

TUBES: 224 227 226 112A 112B

当時、国産ラジオメーカではトップクラスだった坂本製作所のコンドル交流式受信機。この時代のメーカー品のセットの常で、東京電気のサイモトロン真空管特許の使用許諾証が付けられている。最新のスクリーングリッド管224を高周波増幅に使用し、金属シャーシを採用している。ピックアップ端子を備え、バリコンの後部に付けられたスイッチで、同調つまみを回しきるとピックアップに切り替わるようになっている。

キャビネットはRCA Radiola 33に影響を受けたと思われる当時最新の流行であるアールデコを取り入れたシンプルなものである。オリジナルは金属ケースであったが、金属プレスで実現するには生産性が低い構造だったために、形を変えずに木製キャビネットに変更されたと考えられる。スピーカは、RCA Radiola 33と純正の組み合わせであるModel 100-Bをコピーした鋳物ケースのものと組み合わせられる。なお、スピーカの布の模様の向きがRCAとは左右逆である。

(所蔵No.11A172)

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コンドル100号 高周波1段5球受信機 1931年 田辺商店/坂本製作所

TUBES: 224 227 226 112A 112B

金属キャビネットのコンドル100号。オリジナルの金属キャビネットとは微妙に形状が異なるが、底部がプレスでできている構造はオリジナルに近く、コンドル自身のものと思われる。エッジが立ったデザインのキャビネットの製造が困難なことから、角が丸い形に変更したものと思われる。

ツマミはオリジナルではない。本機はトランスが交換されて銘板が失われているので、シャーシ売りされたものかどうかは識別できない。

(所蔵No.S11081)  柴山勉コレクション

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コンドル100号シャーシ 高周波1段5球 1931年 田辺商店/坂本製作所

 

TUBES: 224 227 226 112A 112B (57S 56 26B 12A 12F)

当時、国産ラジオメーカではトップクラスだった坂本製作所のコンドル交流式受信機。この時代のメーカー品のセットの常で、東京電気のサイモトロン真空管特許の使用許諾証が付けられている。最新のスクリーングリッド管224を高周波増幅に使用し、金属シャーシを採用している。ピックアップ端子を備え、バリコンの後部に付けられたスイッチで、同調つまみを回しきるとピックアップに切り替わるようになっている。バリコンの隣にあるスイッチはアンテナコイルのタップ切替である。

本機は、コンドル100号と基本的に同じものだが、完成品ではなく、シャーシとして販売されたもので、銘板の表記が異なっている。シャーシは頑丈に作られ、コイル、バリコン、真空管に厳重なシールドを施している。コイルに近いからかもしれないが、整流管にまでシールドをつけているのはやりすぎだろう。バリコンの両側の大型の円筒形ケースはコイルである。左側の低周波トランスはピッチで充填されている。

オリジナルの金属キャビネットとは微妙に形状が異なる。側面がストレートなデザインのオリジナルに対して底部と蓋とのはめ合い部にリブが設けられ、前面と背面の板金の合わせ目の位置が異なるため、ハンドルの穴の位置が左右対称になっていない。底板もプレスで作られているオリジナルに対して、こちらは平板である。こちらのほうが生産性が高いと思われるが、エッジが立った蓋の工作はプレスのみではできず、はんだ付けで組み立てている。

本機のパワースイッチは取り除かれ、直結されている。

(所蔵No.11A258)

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コンドル100号シャーシ 高周波1段5球 1931年 田辺商店/坂本製作所

  

 

TUBES: 224 227 226 112A 112B (57S 56 26B 12A 12F)

当時、国産ラジオメーカではトップクラスだった坂本製作所のコンドル交流式受信機。この時代のメーカー品のセットの常で、東京電気のサイモトロン真空管特許の使用許諾証が付けられている。最新のスクリーングリッド管224を高周波増幅に使用し、金属シャーシを採用している。ピックアップ端子を備え、バリコンの後部に付けられたスイッチで、同調つまみを回しきるとピックアップに切り替わるようになっている。バリコンの隣にあるスイッチはアンテナコイルのタップ切替である。

シャーシは頑丈に作られ、コイル、バリコン、真空管に厳重なシールドを施している。コイルに近いからかもしれないが、整流管にまでシールドをつけているのはやりすぎだろう。バリコンの両側の大型の円筒形ケースはコイルである。低周波トランスはピッチで充填されている。本来はこの隣にも同じ円筒型のトランスケースが取り付けられていたが、このシャーシではコンドルの小型トランスがシャーシ下側に取り付けられている。修理によるものか、改良によるものかは不明である。

本機は、コンドル100号と基本的に同じものだが、完成品ではなく、シャーシとして販売されたもので、銘板の表記が異なっている。本機のキャビネットは市販品として販売されていたもので、メーカの完成品とはデザインが微妙に異なる。このキャビは単板で作られているが、全く同じ形で合板を使ったものも確認されている。キャビネットを供給したメーカが複数あったことを示している。

キャビネット右側面にナイフスイッチが追加されているが、セット内部には配線されていない。アンテナ避雷器として使っていたものと思われる。

(所蔵No.11950)

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コンドル高声器 マグネチック・スピーカ 1931年

 

コンドル100号に合わせて用意されたマグネチック・スピーカ。RCA 100-B型のコピーであるが、オリジナルにはスピーカの円の周囲に凝った模様があるが省略され、布の模様が左右逆になっている。

(所蔵No.10121)

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オリオン300号受信機 高一付き5球 東京電気/坂本製作所 1932年10月認定 1933年頃休止 63.00円 (昭和7年規定)

 

TUBES: 224 227 226 112A 112B (57S 57S 26B 12A 12F), 512-1213kc

真空管のトップメーカだった東京電気(現東芝)が発売した交流式受信機。坂本製作所のコンドル100号受信機のOEMである。この時代の224を採用したメーカー品のセットには東京電気のサイモトロン真空管特許の使用許諾が必要で、コンドル受信機には許諾章が付けられているが、この機種はライセンス元の東京電気自身が販売するものなので、許諾章はない。特許料が必要ないはずだが、オリジナルのコンドル受信機より10円高い価格が設定されている。認定ラヂオ機器型録の表記では、周波数範囲も異なっている。坂本製作所が設計値を表記したのに対し、東京電気は、少しでも広く見せるために実測値を表記したのだろう。

この金属キャビネットのデザインはRCA Radiola 33 の影響を受けたと思われる当時最新の流行であるアールデコを取り入れたシンプルなものである。オリオン受信機はこの形しか確認されていないが、コンドル100号も最初は同じキャビネットで生産された。この金属キャビネットは、底板もプレスされた箱状のものでL型の側面パネル2枚を側面でスポット溶接した箱とはめ合わせて組み立てられている。底蓋と、蓋と本体の間に高い工作精度がないと実現できない。量産は大変だっただろう。

スピーカはコンドルのRCA100Bをコピーしたものに「ORION」の刻印を追加したものが組み合わせられた。

(所蔵No.11A182/10119)

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サンダーF.S. 再生式4球受信機  富久商会 1931年頃

  

TUBES: 227 - 226 - 226 - KX-112B (27A 26B 26B 12F)

エリミネータの初期に流行した金属キャビネットを採用した4球受信機。メーカの富久商会は現在でも電子部品商社として盛業中である。このような金属キャビネットはコスト面のメリットが薄く、すぐに廃れてしまった。また、戦時中の金属回収により多くが失われたともいう。他社の製品と、ダイヤルを除く形状が同じであることから、金型を持ってキャビネットを供給していたメーカがあったようである。

本機のツマミは左端のみオリジナルである。また、コイルとチョークコイルが終戦直後の粗悪な製品に交換されている。

(所蔵No.11951)

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シンガー4球受信機 4球再生式 三共電機工業(株) 1930年 28.00円

  
初期型(左)と後期型(右)でダイヤルの形状が異なる

後期型の内部(シャーシに変更はない)

TUBES: 227 226 226 KX-112A , 550-1100kc,

当時、アメリカに倣って金属ケースのラジオの大量生産に乗り出した三共電機の4球受信機。シンガーのブランドだが、ミシンとは無関係である。上記のコンドルとキャビネットが全く同じものであることがわかる。設備投資が金型などに設備投資が必要な金属キャビネットは複数のメーカに供給されていたことがうかがえる。

同社は当時の日本では非現実的なほどの量産を計画し、低価格のラジオを供給した。このセットは発売の翌年には28円から21円に大幅に値下げされている。これは量産効果によるコストダウンというより供給過剰による値崩れであった。1932年以降同社の経営は悪化し、翌年営業休止となった。写真のスピーカは純正の組み合わせだが、認定は取得していない。

(管理No. K11001)  (個人蔵) (所蔵No. 11A225)

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シンガー5球受信機 高周波1段5球再生式 三共電機工業(株) 1930年頃

  

TUBES: 226 - 227 - 226 - 226 - KX-112A

交流受信機の初期の時代に大量生産を目指して金属製のキャビネットの採用が流行した。早川金属工業(シャープ)の富士号のほか、このシンガー製品、コンドル、フタバなどがある。ダイヤルが2つあるのは、まだ2連バリコンではなく、高周波増幅段と検波段の操作が独立しているためである。このような金属キャビネットはコスト面のメリットが薄く、すぐに廃れてしまった。また、戦時中の金属回収により多くが失われたともいう。

スピーカは純正の組み合わせだが、同時に発見されたものではない。
本機は整流管が失われている。

(所蔵No.11572)

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シンガー3球受信機 3球再生式 三共電機工業(株) 1931年頃

  

TUBES: 227 112A KX-112A, Magnetic Speaker

ホーンスピーカからラジオの生産に乗り出したシンガーのラジオの中で最も安価なモデル。同社はこのモデルをアメリカを手本にして大量生産する計画を立て、実行に移したが過剰生産による値崩れを起こし、同社の経営悪化の原因となった。ここでは純正のマグネチックスピーカを組み合わせて紹介したが、コーン型スピーカは高価だったため、安価なホーン・スピーカが組み合わせられることも多かった。

内部シャーシ中央の低周波トランスはオリジナルではない。

(所蔵No.S11023)  柴山勉コレクション

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シンガー再生式4球シャーシ使用受信機 1931年頃 三共電機工業(株)

  

TUBES:227-226-226-KX112A

このシャーシは本来、上記の製品のように金属キャビネットに収められて発売されていた。このセットは、シャーシとして販売されたものを別の木製キャビネットに入れたものと思われる。このキャビネットのデザインは、松下幸之助氏が北尾鹿治氏の工場を買収し、初めてラジオの生産に当たった国道電機製作所製品のものである。同社はすぐに松下に吸収され、この形のラジオの生産は中止されたが、デザインの評判は良かったらしく、その後も「松下型」と称してコピー品のキャビネットが生産された。

本機は、真空管がST管に交換されているが、比較的良くオリジナルが保たれている。
スピーカは同時代のものだが、オリジナルの組み合わせではない。

(所蔵No.11336)

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シンガー5球受信機 高一付5球 1931-32年頃 三共電機工業(株) 

  

 

TUBES: 227-224-226-112A-KX-112B, Magnetic Speaker

シンガーの高級機である。高周波増幅と検波回路が独立して厳重にシールドされ、2つのバリコンは金属ベルトで連動し、横行ダイヤルを備えている。銘板には当時販売で提携していた東京電燈(現東京電力)の名前がある。この高級機を発売した翌年に同社の経営は破たんする。

(所蔵No.11A058)  掲載誌:無線と実験1931(昭和6)年7月号

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SILVER LINE 鉱石検波レフレックス受信機 1931年頃 N.Y. Radio Products / 北澤無線電気商会

  

 

TUBES: 226 226 112A KX-112B (26B-26B-12A-12F), Horfn Speaker (Center)

長野県上伊那郡伊那町(現在の伊那市)にあったラジオ商が販売した中小メーカ製のエリミネータ受信機。ブランド名は米Silver-Marshalをもじったもの。放送局から遠く、感度が必要なことから4球鉱石検波レフレックスという珍しい構成になっている。組み合わせられているホーンスピーカは当時ポピュラーだったセンターの製品である。組み合わせた状態で入手したが、本来の組み合わせかどうかは不明である。真空管はすべてST管に交換されている。

(所蔵No.11A120)

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SILVERLINE 2590 typeA型 高周波1段5球受信機 1930年頃 N.Y. Radio Products / 松崎ラヂオ商会

 

TUBES: 226-227-226-112A-112B

幅75cmもある大型のキャビネットは非常に仕上げが良い。かなり高級なセットだったと思われる。ブランド名は米Silver-Marshalをもじったもの。メーカーは不明だが、同じブランドが東京の松崎ラヂオ商会から発売されている。スピーカーはマグネチックである。すでに金属シャーシが採用され、このタイプの受信機としては後期のもの。本機はコイルが戦後のものに交換されている。真空管はST管に交換され、低周波段226-112Aの2本が軍用の双3極管UZ-12C 1本に置き換えられている。

パネルに張られた放送局名のメモから、北陸地方で少なくとも昭和20年代後半まで使用されていたと思われる。

(所蔵No.11597)

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ダイヤモンド B-21型 鉱石検波レフレックス3球 1928年  山中電機製作所

 

 

TUBES: 201A-112A 201A, 固定鉱石検波器

後に「テレビアン」ブランドで知られることになる山中電機は、初期には「ダイヤモンド」ブランドでトランスやスピーカなどの部品を製造していた。多くの部品メーカ同様、山中もセットメーカへの進出を考えたが、これはその初期のものである。米クロスレー社の製品のコピーで知られるTRCによく似たデザインを採用している。まだ交流用真空管がなく、鉱石検波でレフレックスとして整流管に三極管201Aを使用する初期のエリミネータ受信機である。

蓋の裏に、ダイヤルの位置を記入するための局名表があるが、ちょうど外地を含む各地の大規模局が揃ったころである。これを見ると、750-900kcという極めて狭い範囲の周波数を割り当てていることがわかる。距離が離れた局に近い周波数を割り当てる配慮はしているようだが、当時の一般的なラジオの感度が低いことから可能だったことだろう。なお、京城(現ソウル)局のJOKDは、JODKの誤植である。

レオスタットのツマミは片方がオリジナルではない。右側がオリジナルと思われる。

掲載誌:『無線と実験』第9巻第6号広告(1928.9)

(所蔵No.11A330)

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テレビアンA-227型 再生式4球受信機 1931年 山中電機製作所 35.00円

 

TUBES: 227-226-112A-112B

「テレビアン」ブランドを使い始めた頃の山中電機のエリミネーター受信機。この時代は、山中を始め多くの部品メーカがセットメーカへ転換した。ミゼットラジオへの転換期でもあり、このようなメーカー製のエリミネーターセットは珍しい。多少大型だがエリミネーター受信機としては標準的な回路。ただし、すでに金属シャーシを使用している。スピーカーは同社の純正品である。
A-227型は木製キャビネットだが、共通のシャーシを使い、この木製キャビネットと全く同じ形で金属キャビネットにマホガニーの木目印刷を施したAC-227型(37.00円)が追加された。

本機は26Bを1本追加してバリコンをシャープ製の2連バリコンに交換し、高一受信機に改造されている。真空管もこの時にST管に交換されたと思われる。改造の時期は使われている部品の年代から1937年頃と思われる。放送局型と共通のデザインのツマミも後に交換されたものと思われる。シャーシに余裕があり、利得の低い3極管を使ったエリミネーター受信機がこのように改造されている例は多い。

(所蔵No.11594)

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テレビアンC-224型 高一付5球 1931年 山中電機製作所 



TUBES: 224-227-226-112A - KX-112A

最新型の4極管UY-224を採用した大型の5球受信機。224の供給が東京電気(マツダ)に限られていたため、同社の特許許諾証が貼られている。放送局が少ない日本ではスーパーヘテロダインの必要性は少なく、このような高周波1段5球程度のセットが地方の富裕層などに高級機として使用された。デザインは米RCAのRadiola18の影響がみられる。

(所蔵No.S11024) 柴山勉コレクション 掲載誌:無線と実験1931(昭和6)年7月号

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トクヒサ受信機 再生式4球 1931年 徳久電機



TUBES: 227 226 226 112B

徳久は、トランスメーカとして地位を確立していたが、多くの同業者同様セットメーカへの進出を考えていた。同社は当時流行した金属キャビネットを採用したエリミネータ受信機を発売した。高価な金型が必要なキャビネットはシャープダイン受信機と同じもので、早川から供給を受けたものと思われる。徳久のラジオセット進出は結局うまくいかず、短期間で撤退した。

(所蔵No. 11A218 / m11106) 愛知県、太田様寄贈

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シャープダイン26型「奉仕号」 鉱石検波3球レフレックス 1931年 早川金属工業研究所

 

TUBES: 226-226-112B, 固定鉱石検波

早川が普及型として発売した3球受信機。コストと感度を両立させるために226の2球として鉱石レフを採用した。4球以上の機種には一流品のサイモトロンまたはエレバムの真空管を使用したが、この普及機には二流のキングトロン真空管を使用している。内部を見てわかるように上からトランスが見えない。シャーシの高さはあるが、シャーシ内部に収められるほど小型の貧弱なトランスを使用している。ペアとなるスピーカも4球以上が自社製のマグネチックスピーカであるのに対し、無名のホーンスピーカを組み合わせている。

このような徹底したコストダウンで同社の4球再生式(25号)の半額以下で発売された。同社はこの普及機を「奉仕号」と名付けてヒット商品となった。ほぼ同時期に発売された松下の1号機が贅沢に作りながら大量生産でコストダウンしようとして失敗したのに対し、経験の長い早川は使用部品や回路から低コストにすることで安価な製品を実現し、成功したのである。なお、この機種には"Sharpdyne"の文字がない。シャープが一般名詞のためなかなか商標登録が取れなかった影響と思われる。

本機は、鉱石レフを通常の4球再生式(227-226-26B-12F)に改造されている。バリコンの間にあるコイルケースもオリジナルではない。

(所蔵No.S11021) 柴山勉コレクション

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シャープダイン30型 高一5球受信機 1931年 45.00円(球別、本体のみ)

  

 

TUBES: 227 226 226 UX-112A KX-112A (27A 26B 26B 12A 12F)

当時のシャープダイン受信機の上級機種。流行の金属キャビネットを採用している。同調ツマミまで包み込む大型のダイヤルエスカッションが採用された初期型には最高峰という意味なのか「富士号」の愛称が付けられた。しかし、発売直後に新型の224を採用した上位機種の31号が発売されたため、「富士号」の愛称は削除されたと思われる。31号からは、同時期に発売されたミゼット型受信機と共通の小型のダイヤルに変更された。本機は、デザインが変更された後期型である。下位の機種に4球再生式の25号があったが、外観は全く同じである。シャープA型、またはB型マグネチック・コーンスピーカが標準で組合わせられる。真空管とスピーカの組み合わせが2種類あり、セットで65円または68円であった。奉仕号と同じ年に発売された製品だが、こちらには"Sharpdyne"の文字が銘板に入っている。

掲載誌:無線と実験 1931年5月号(広告:初期型)

(所蔵No. m11107) 愛知県、太田様寄贈

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シャープA型 マグネチック・スピーカ 1931年 早川金属工業研究所

  

早川が、金属キャビネットのシャープダインNo.30富士号5球、25号4球に合わせて用意されたスピーカ。初期のコーン型マグネチックスピーカを内蔵している。後に出ているのはスピーカの調節ねじである。全く同じ形状で「アミコ」ブランドのものも存在する。同じ金型で多くのメーカに供給されたことが伺える。

(所蔵No.10022)

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シャープE型 マグネチック・スピーカ 1931年 早川金属工業研究所

  

シャープのマグネチック・スピーカのバリエーションの一つ。初期のA型にあった調節ネジは省略されている。また、銘板の表記が"FOR ELIMINATOR"から"MAGNETIC CONE SPEAKER"に変更されている。全く同じ形状で「ワルツ」ブランドの物も存在する。同じ金型で多くのメーカに供給されたことが伺える。

(所蔵No.10121)

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シャープダイン 33型 再生式4球受信機  (1932年、早川金属工業研究所)

  

 

TUBES: 227 226 226 112B

早川の金属キャビネットを採用した交流受信機の後期のもの。出力管にUX-112Aではなく、UX-226を採用することで低価格としている。同じ外観で出力管に112Aを採用した23号も用意されていた。

本機は、真空管が57S 26B 26B 12F に交換されている。アンテナコイルも戦後のスター製並四コイルが使われていて、戦後まで使用されていたことがわかる。ツマミは右の1個だけ違っているが、これも同時代のシャープのツマミである。左と中央の2個がオリジナルと思われる。

(所蔵No.11958)

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フタバ 高周波1段5球受信機 (1931年 二葉商会電気工作所 The Futaba Electric Co.) 

  

 

TUBES: 226 - 227 - 226 - 112A - 112B

大正末期からラジオの生産にあたった北尾鹿治氏は、1930年に自社の工場を松下幸之助氏に譲渡し、国道電機製作所を設立して共同でラジオの生産にあたったが、製品の品質に対する考え方の相違から1931年に独立して二葉商会を設立、フタバ(F.E.C.)ブランドでオリジナルの製品を生産開始した。
このセットは、同社のごく初期のものである。
同社はその後第2次大戦直後まで関西の有力メーカとして君臨することになる。

(所蔵No.11334)

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センター(Center) 製品 センター電機製作所

センター マグネチックコーンスピーカ 1930年頃 センター電機製作所

  

ホーン・スピーカからコーンスピーカの生産に乗り出したスピーカ専門メーカ、センター電機製作所の初期のコーンスピーカ。このようにバッフルボードに取り付けるタイプの製品が初期には現れたが、すぐにスピーカーボックスに収めるタイプの製品が主流となった。

(所蔵No.S10007) 柴山 勉コレクション

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セミコンソール型5球再生式受信機 (1932年 私製)

   

  
  (左)裏蓋に貼られた手書きの回路図、(右)パワートランスに貼られた電灯会社の試験票

TUBES: 226-227-226-226-112A

 スピーカをひとつのキャビネットに収めた、エリミネータからミゼットへの中間に位置するセット。ワルツのマグネチック・スピーカを駆動する高周波1段再生検波5球受信機である。昭和四年度規定による放送協会認定品の坂本製作所製T-227型電源トランス、チバのバリコン、トクヒサの低周波トランス、ドイツ製のコンデンサなど、一流の部品が使われている。

真空管はすべてST管に交換されている。電源部をキャビネット上段に配置する特異なレイアウトとなっている。レオスタットやニュートロドンが使われているところなど、まだ電池セット時代の名残が見られる。私製であるが、良い部品を使って丁寧に作られたセットである。

(所蔵No.11746)

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Extra 5球再生式受信機 1933年頃 メーカー不明

  

TUBES: 26B-27A-26B-12A-12F, Magnetic Speaker (Center)

このラジオは岐阜県の旧家に残されていたものである。名古屋無電「ソプラノ」パワートランスなど、真空管やスピーカを除くと、主な部品は名古屋地区の地場のメーカの製品が使われている。スピーカは松下が第1号ラジオ用として発売したM-25型スピーカをコピーしたものである。このコピー品は多くの中小メーカから発売された。このことから、このセットは、松下の1号機が発売された1932年よりも後に作られたものとわかる。スピーカと本体が分かれている形式のラジオとしては最も後のものと思われる。ダイヤルもナショナルのデザインに似たもので、Extraはここに刻印されている。ラジオのメーカではなく、ダイヤルに付けられたものだろう。

本機は、低周波トランスや真空管が交換されている。少なくとも戦後まで使用されたと思われる。

(所蔵No.m11063) 岐阜県 小林様寄贈 


参考文献

(1)日本放送協会編 『ラヂオ年鑑』 昭和8年版 (日本放送出版協会 1933年)
(2)Eric P. Wenaas, "Radiola -The Golden Age of RCA 1919-1929-" (Sonoran Pablishing, LLC, 2007)
(3)Alan Douglas, "Radio Manufacturers of 1920's" Vol.1, (Vestal Press (U.S.A.) 1991) Amazon.co.jp で購入する
(4)Ralph Williams, John P. Wolkonowitz, "A. Atwater Kent: The Man, the Manufacturer, and His Radios", (Sonoran Publishing Inc. 2002) Amazon.co.jp で購入する

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